中国の独占禁止法当局が、日本の自動車部品メーカー12社に独禁法違反があったと認定し、10社に合計12億3500万元(約200億円)の制裁金を支払うよう命じたという記事。
「摘発対象となったのは、日立製作所の車部品子会社の日立オートモティブシステムズ、デンソー、愛三工業、三菱電機、ミツバ、矢崎総業、古河電気工業、住友電気工業の電装部品8社と、不二越、日本精工、ジェイテクト、NTNのベアリング(軸受け)4社。発電機やワイヤハーネス(組み電線)、ベアリングで不正行為があったとしている。
各社に中国での該当製品の年間売上高の4~8%に相当する制裁金を科す。電装部品では住友電の2億9040万元(約48億円)が最大で、ベアリングでは日本精工が1億7492万元の制裁金支払いを迫られる。日立と不二越は「当局の調査に協力的だった」という理由で制裁金の支払いを免れた。」
10社分プレスリリースを探すのはたいへんなので、代表して。
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中国・国家発展改革委員会の決定について(住友電工)
「本件は、2009年まで受注調整行為が行われていたとして処分を受けたものですが、当社は、2010年6月に「競争法コンプライアンス規程」を制定し、専任組織等による運用体制を構築するなど、グループ全体の競争法コンプライアンス体制を強化しており、今後とも、競争法コンプライアンスを経営の最重要課題と位置付け、公正な事業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。」
こちらは、どちらかというと中国側の観点からの記事。
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日系自動車部品メーカーに過去最大の制裁金
中国政府の本当の狙いはどこに(ダイヤモンド)
「中国保険業界協会、中国自動車維持協会は、4月に「部品価格に対する完成車の販売価格の比率」(自動車に使用されているすべての部品の価格に対する「組立後の完成車としての販売価格」の比率)を公表した。それを見て、中国のマスコミは突如として騒ぎ出した。
世界の平均的な比率は高くても300%で、中国では意外に高いとされていたが、同報告において、18車種で日本車の係数は同じレベルの他の車種よりも高かった。中でも、トヨタ自動車は完成車の販売価格に対する部品価格の比率が非常に高いという。400%を超えた10車種には、トヨタの自動車が4車種含まれていた。それは、レクサスES、カムリ、カローラ、ヤリスで、中でもヤリス(日本名ヴィッツ)の比率は720.28%に達し、ベンツCクラスW204の1273%に次いで高いものであった。」
「有名な自動車アナリストの張志勇氏は、中国メディアの取材に対し、日系の自動車完成車メーカーと部品メーカーの関係は緊密で、部品の輸入及び輸出に対するコントロールはとても厳しい。それを背景として、中国国内の部品企業が日系完成車メーカーの組み立てシステムに参入、また、中国の完成車メーカーが日系部品企業の核心部品を購買しようと思っても、入手することは非常に難しいという。
張志勇氏によると、「日系内部の企業は同盟を作りやすく」、また「同盟の形成は価格の操縦に役立つ」と言う。」
補修用部品は保管コストが余分にかかり、出荷の際のロットも小さいため運送費も高くつくでしょうから、完成車とくらべれば、割高になるのはやむを得ないと思われますが、限度を超えていたのでしょう。
完成車向けでは利益が出にくいので、補修部品で稼ごうという意図もあるのかもしれません。
中国の独禁法は本当に「日本企業いじめ」か?
「カルテル天国・中国」に空ける風穴の意義(ダイヤモンド)
こちらは米国での罰金の事例
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日本特殊陶業、罰金53億円 米自動車部品カルテル(朝日)
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