会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

郵政3社・上場発表:成長、金融2社頼み(毎日より)

郵政3社・上場発表:成長、金融2社頼み

日本郵政グループが郵政3社の同時上場計画を発表した件の解説記事。

現在は日本郵政の下に100%子会社として、日本郵便とゆうちょ銀行とかんぽ生命がぶら下がっている形ですが、このうち、親会社の日本郵政と、日本郵便を除いた金融子会社2社が上場するそうです。

「日本郵政の西室泰三社長は26日の記者会見で、将来的には金融2社の株式を全て売却するとしたが、「(保有割合が)50%を切るところまでやり、株の放出は一休みする」と完全民営化に向けては2段階のステップを踏むとした。背景にあるのは、グループ収益の9割超を稼ぐ金融2社の株式を一気に売却すれば赤字の日本郵便しか傘下になくなり、日本郵政の企業価値が大幅に低下するという懸念だ。

日本郵便はメールの普及などで郵便事業が縮小しており、2015年3月期は最終(当期)赤字の見通しだ。・・・事業の成長性を打ち出せない中、金融2社に一定程度関与し続ける姿勢を打ち出すことで企業価値を維持しようという苦肉の策とも言える。」

日本郵政グループ3社の株式上場について(日本郵政)

プレスリリースによれば「金融2社の経営の自由度の拡大、グループの一体性や総合力の発揮等も視野に入れ、まずは、保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却していく」とのことなので、金融子会社2社はしばらく子会社のままで上場を継続するということになります(支配が継続すると考えられるため)。

そうすると、現行会計基準では、今回上場する3社と上場しないで取り残される日本郵便の間の再編などの取引は、共通支配下の取引となって、時価で会計処理するのではなく、帳簿価額が引き継がれる場合があります。上場会社だから適用されないということはないので、含み損があるような事業や資産をこっそり押しつけられたりしないよう監視が必要でしょう。

また、連結会計基準が改正されたので、日本郵政は子会社株式の売却損益はPLには計上できません。新たな株主からの資本の拠出ということになり、売却収入は直接純資産の増加となります。(キャッシュフロー計算書でも、財務活動の収入になるようです。)

さらに、「今般の新規上場時における金融2社株式の売却収入については、・・・政府からの日本郵政株式会社の株式(自己株式)の取得資金に充てることを想定している」とのことなので、自己株式の取得として純資産が減ることになります。

「日本郵政の上場について、証券業界は「NTT上場に匹敵する大型上場」と期待する。東京証券取引所の幹部は「国民に身近な企業の株が売り出されれば、株への関心が高まり、多くの人が投資を始める起爆剤になるかもしれない」と話す。」

毎日の記事でもふれていますが、NTT株については、その後の値下がりで多数の個人投資家が損を被っています。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事