「大学が壊れてしまった」衝撃的な現実を伝えるルポルタージュ(RKB)(Spotifyなどで番組を聴くことができます。)
『ルポ大学崩壊』という新書本を紹介している記事(ラジオ番組の書き起こしのようです)。著者へのインタビューも含まれています。文科省の動きに批判的な立場のようです。
「新書「ルポ大学崩壊」は、大学論ではなく、実際にこの10年間ぐらいで、大学で何が起こっているかを取材したルポルタージュです。採り上げられているのは、東京大学から慶応義塾大、早稲田大など大きなところもあるし、追手門学院大学、山梨学院大学、私達の近くだと福岡教育大学や下関市立大学など、26の大学についてのルポルタージュになっています。信じられないような問題がなぜこんなに起きてきているのか。」
「国立大学の法人化」(人件費削減、非常勤教職員の増加)、「私立学校法の改正」(理事長を学校法人のトップに位置づけた)、「学校教育法の改正」(教授会は学長の諮問機関に格下げ)、「国立大学法人法」改正(学長の選考方法についても「学長選考会議」が決められる、学長の任期を撤廃した大学でまで出てきた)といった点を挙げています。
さらに...
「2021年に国立大学法人法を改正しているんです。「学長選考会議」を「学長選考・監察会議」という新しい名前にしまして、国=文部科学大臣が指名した監事が、総長に問題があったら会議にかけることができる、要は『国が間接支配できるようなシステム』を、北海道大学の問題が起きた後に作ってしまった。」
「国際卓越研究大学」という制度ができますが、それにも問題があるそうです。
「田中:実は2022年には「国際卓越研究大学」という制度ができ、いま公募が行われているんです。政府が作った10兆円のファンドの運用益を、5~6個ぐらいの大学に分配する。10兆円が3%で運用されれば3000億円ですから。『欲しいところは手を挙げなさい』と。
田中:ただしこの「国際卓越研究大学」になると、簡単に言うと、大学の運営も政府が見られるようになっちゃうんですね。政府と財界が中心となって、使い道をちゃんと見る。さらに、今はシステムとして経営評議会だったり、大学には会議体があるんですけども、最高意思決定機関を新たに作って、その半分以上が学外の人。例えば、東大、京大、九州大学がもし国際卓越研究大学になると、もう大学の全てのことが学外の人や政府に握られると。」
上場会社のガバナンス改革では、社外役員など外部の目をいれるというのがポイントとなっていますが、大学でも、建前上、同じような考え方で、やろうとしているようです。うまくいくのかどうか...
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