有限責任監査法人トーマツは、米国公開会社会計監視委員会(PCAOB)が2014年に行った定期検査において、「PCAOBが特に重要であると考える監査の不備」が見つかったことを公表しました。
「PCAOBは、2014年に有限責任監査法人トーマツの定期検査を実施し、全ての定期検査と同様に、2016年4月6日に検査報告書の一部を公表しました。検査報告書の公開部分には、検査対象となった監査業務に関してPCAOBが特に重要であると考える監査の不備が含まれています。」(プレスリリースより)
ただし、事後的に措置を講じた結果、結論の変更が必要となるような状況はないと考えられ、したがって、以前に発行された財務諸表の訂正は不要とのことです。
公表されたPCAOB検査報告書はこちら(PDFファイル)
↓
http://pcaobus.org/Inspections/Reports/Documents/2014-Deloitte-Tohmatsu-Japan.PDF
検査のうち監査業務の検査では、トーマツが主たる監査人であった1社と、他の監査人であった2社を対象としています。そのうちIssuer A(発行者A)(どこでしょう?)の監査不備を指摘されています。
(検査報告書の決まり文句なのかもしれませんが)監査人であるトーマツは、財務諸表に重要な虚偽表示がなく、かつ、会社は財務報告にかかる有効な内部統制を保持しているとの合理的な保証を入手するという根本的な義務を果たすことなく監査報告書を発行したとまで述べています。
In other words, in this audit, the auditor issued an opinion without satisfying its fundamental obligation to obtain reasonable assurance about whether the financial statements were free of material misstatement and the issuer maintained effective ICFR(報告書4ページより)
具体的には、
・ローン債権の貸倒引当金に関して内部統制の有効性のテストが不備であり、(実証)手続きも不十分(内部統制のテストが不備であるのに依拠しておりサンプル数が少なすぎる)、
・デリバティブの網羅性と評価に関して内部統制のテストが不備であり、(実証)手続きも不十分
・不正による重要な虚偽表示のリスクに対応した仕訳テストが不十分
といった指摘です(報告書4~5ページ)。
(日本の有価証券報告書に含まれる財務諸表や会社法計算書類の監査は大丈夫だったのでしょうか。また、金融庁検査ではきちんと見ているのでしょうか。)
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