2008年度決算から上場企業に義務づけられる内部統制制度について、金融庁が監査のガイドラインをまとめたという記事。
企業が財務報告に関係する内部統制を自らテストして大きな不備なく内部統制が整備・運用されていることを確かめ、それを報告書に簡潔にまとめ、さらに外部監査人が確かめるというのが、制度の大枠です。
記事で「取締役会の承認を経ない重要取引など手続きが不備な場合、純利益が5%以上変動する恐れがあれば企業に公表を義務づける」といっているのは、純利益の5%を超えるようなエラー(財務諸表と実際の数値との差異)が生じないような内部統制が整備運用されていることを、企業が確かめ、監査人が確かめるということでしょう。実際にはもっと精緻な内部統制ができているかもしれませんが、企業や監査人が確かめるべき範囲として「純利益の5%」という規準値を設けるということだと思います。(ちなみに、エラーが生じないというのは、100%エラーがないようにするということではなく合理的に低い確率(リスク)まで下げるということです。)
細かい点ですが、「純利益」という税引き後の数値を使うという点も気になります。
税引き前利益100億円、税引き後利益60億円(税率40%として)という会社を考えてみると、3億円(=60億円×5%)を超える計上間違い(例えば棚卸資産の架空計上)がないことを保証するような内部統制の整備・運用までテストしなければならないのか、あるいは、税効果まで考えて5億円を規準値とすればよいのか、どちらなのでしょうか。(たぶん前者だと思いますが・・・)
また、「具体的な基準を設け監査の混乱を避けるねらい」とのことですが、トヨタのように1兆円も利益が出る会社はともかく、利益水準が低迷している会社にとっては、文書化やテストの範囲がかなり広くなってしまうかもしれません。
記事によれば6日(きょう)に草案が公表されるようですので、確かめてみたいと思います。
ところで、5月には、公表されるのは6月という観測もあったのですが、相当遅れています。↓
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