新日本監査法人が東芝問題について外部の弁護士チームに調査させた結果の報告書要旨。
ファイル名からすると昨年(2016年)6月に作成またはウェブ掲載されたものと推測されますが、当サイトでは見落としていたようですので、備忘のために載せておきます。
2016年2月9 日から3月25 日まで調査を行い、調査報告書をまとめ、それをもとに弁護士が根本原因の検証と改善策を提言しています。
以下気になった点の抜粋。
「本件監査は、内部統制監査等一応の手続を踏んでいるが、 J‐SOXやリスクアプローチの形式的運用に依拠し過ぎ、「前例踏襲型」に陥り、実質的監査のレベルにまで踏み込めていない。 また、会社の事業内容や商流を十分に理解しないまま監査に臨んでいる。その最大の根本原因は、「職業的懐疑心」の不足=公認会計士としてのプロフェッショナリズム(プロ意識)の不足にある。」
「監査チーム内の上下・左右の情報共有不足、前任者からの引継ぎの不十分等から不正リスクの端緒となるべき情報が埋没。その背景に、出身母体やクライアント別の縦割り等によって一種の村社会が出来上がり、意思疎通を阻害し、構成員が全体として統一した意識を持ち難い体質がうかがわれる。」
「東芝側から内部資料や事業担当者らとのアクセスを制限され、要求した資料の開示を拒否されており、監査チームが常日頃から経営トップ等と密な接点を持つなどして会計のプロとして尊敬される関係性を構築できていない。」
「現状、会社対応は契約更新等も含めて特定の業務執行社員に委ねているが、それでは、東芝のように大企業で、報酬や監査人の変更を示唆して自社の考え方を押し付けてくる会社に厳正に対応することはできない。また、当法人が、利益獲得に重点を置き、クライアント獲得のために報酬を減額し、結果として監査現場の人的資源に不足を生じさせ、監査品質の低下を招いた可能性も否定できない。」
3番目と4番目の前半は、会社側の問題も大きいと思います。また、4番目の後半は、大量リストラと報酬ダンピングという経営方針を批判したものでしょう。
新日本の中では研修などでこうした指摘は周知されていると推測されますが、他の監査法人も参考にすべきでしょう。
新日本の2016年のニュースリリースの一覧ですが、この報告書についてふれたものはないようです。
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ニュースリリース/お知らせ 2016年(新日本監査法人)
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