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金融庁の「銀行は担保より借り手の事業性を見ろ」は危険(WEDGEより)

金融庁の「銀行は担保より借り手の事業性を見ろ」は危険

金融庁の金融行政方針を批判した記事。大手銀行出身の大学教授が書いています。

「金融庁は10月に発表した金融行政方針の中で、銀行に対し、担保や保証がなくても事業に将来性がある先、信用力は高くないが地域に無くてはならない先、などに積極的に融資するように促しました。」

目利き能力のない銀行員に無理やり目利きをさせれば、判断を誤って大量の不良債権を発生させかねません。理想を追い求めすぎると怪我をするのです。それだけではありません。本当に怖いのは、後述のように、「危険な借り手しか借りに来ない」という状況に陥りかねない事なのです。

銀行は担保と保証に頼ったビジネスをしていれば良いのです。担保はないけれども事業性はあるベンチャー企業は、ベンチャーキャピタル等の投資家に任せれば良いのです。ベンチャーキャピタルを支援する事こそ、金融庁に求められていることなのです。」

事業性の判断ができないのに、リスクに見合った金利を取ろうとすると...

「何が問題かと言えば、最も借りて欲しい会社(堅実で担保もある借り手)は最初から借りに来ず、次に借りてほしい会社(堅実だが担保のない借り手)も途中から借りに来なくなり、ハイリスク・ハイリターンな借り手(及び詐欺師)だけが最後まで借りに来る、という「逆選択」が起きることです。来て欲しい客は来ず、来てほしくない客だけ来る、というわけですね。

さらに悪いことが起きる可能性もあります。今まで堅実な商売をしていた企業が、ハイリスク・ハイリターンな企業に変身してしまいかねないのです。ハイリスク・ハイリターンな企業にとって銀行借入は、「勝てば自分の儲け、負ければ銀行の損(自分の損は資本金だけ)」というギャンブルになり得るからです。

多くの銀行が金融庁の指導に従った結果として、多くの企業がハイリスク・ハイリターンなビジネスを始め、失敗した場合の損失を銀行に押し付けるとすれば、銀行業界の将来は真っ暗かもしれません。」

そのころには、今の金融庁長官は任期が来て交代しているでしょうから、問題ないのでしょう。

当サイトの関連記事(平成28事務年度金融行政方針について)

捨てられる銀行 (講談社現代新書)捨てられる銀行 (講談社現代新書)
橋本 卓典

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