不正経理発覚後に設けられる外部の「第三者委員会」が十分機能していないという記事。
「ここ数年、監査法人の指摘や監視委の調べで不正会計が発覚した企業の間では、弁護士ら外部の専門家に原因や事実経緯などの調査を委託し、受け取った報告書を証券取引所や自社のホームページに公表する動きが広がっている。」
「監視委は、処分に至らなかった不正会計についても各企業が公表した報告書をすべて調べているが、幹部は「大半のケースで『うそ』や『お手盛り』が見られる」と指摘する。経営者の関与を指摘していない▽手口を正確に記載していない▽複数年度にわたる不正なのに一部の決算年度しか調べていない――などが多いという。」
「企業が自ら公表する弁護士らの調査報告書は、決算書類などと同様に企業の株価を左右する重要な開示資料とみなされる。弁護士のお墨付きを得た報告書にうその記載があれば、投資家が判断を誤るおそれがあるからだ。」
監査人の立場からすると、重要な不正経理が発見され過去の財務諸表がおかしいということになれば、発行済みの監査報告書を撤回して、訂正報告書(財務諸表に限られますが)の方をあらためて監査することになります。会社は外部の調査委員会でお墨付きをもらった内容で訂正報告書を作成するわけですが、それに頼り切るのは非常に危険だということでしょう。重要な虚偽表示を見逃してしまった原因が、当初のリスク評価が甘かったことにあるのであれば、リスク評価をやり直して、外部委員会が指摘した事項だけでなく、他の項目も含めて監査手続きが十分だったかどうかを再検討する必要が出てきます。会社の自己申告(+外部委員会のお墨付き)分だけ修正すればよいということではないでしょう。
また、外部委員会に会計士が加わることも多いようです。会計士自身が報告書を出すわけではなく、単に委員会のメンバーとして参加しただけという言い訳はできるにせよ、会計上の判断の部分は会計士が分担するのでしょうから、軽々しく結論を出すのは無責任です。会計士協会の倫理規則でもセカンドオピニオン業務は慎重に行うようにといっています(ただし、外部不正調査委員会のメンバーとしての活動がセカンドオピニオンに当たるかどうかは明確ではないようです)。
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