会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

HOYA、自社株買い236億円超過 「算定ミスが原因」 (日経より)

HOYA、自社株買い236億円超過 「算定ミスが原因」

HOYAが、会社法上の制限を超えて自己株式を取得していたという記事。

「HOYAは18日、会社法の規定を236億円上回る自社株買いをしていたと発表した。自社株買い可能額の算定ミスが原因としている。同日付で外部の弁護士と会計士の計3人で構成する第三者委員会を設置し、詳しい原因究明と再発防止策を取りまとめて6月中旬に公表する。」

「自社株の取得可能額は直近で発表した本決算の単体ベースの利益剰余金(利益準備金を除く)が基準になる。期中に配当や自社株買いをした場合、実施額に応じて可能な額が減少する。期中に発生した利益は可能額に加算できないなどの規定もあり、算定ミスにつながった可能性がある。」

自己株式は、会計上は資本の払い戻しということで、純資産全体からマイナスする形で会計処理・表示がなされますが、会社法上は、配当と同じような制限(つまり、剰余金のマイナス扱い)ですから、それに違反するということは、いわゆるタコ配当と同じともいえます。

どうして間違えたのかなどは、これから調べて明らかになるのだと思いますが、「期中に発生した利益は可能額に加算できない」という点が問題であったのなら、期中で臨時計算書類を作成し、監査を受けて、配当可能利益を増やしておけばよかったのでしょう。

平成 28 年 2 月に決議した自己株式の取得に関する第三者委員会設置のお知らせ(HOYA)(PDFファイル)

「本決議は、株式取得に必要な実質的に分配可能な原資がその時点において十分あるとの認識のもとで行われたものですが、このうち平成 28 年 3 月 31 日までに取得した 186 億 4,000 万円および平成 28年 4 月 1 日から 8 日までに取得した 49 億 8,400 万円については、会社法及び会社計算規則に基づき算定される分配可能額を超過していたことが判明いたしました。なお、平成 28 年 3 月期に取得された250 億 1,600 万円分の株式は、平成 28 年 3 月期の連結および単体の計算書類に含まれており、これらの計算書類について会計監査人から適正であるとの意見を得ております。よって先日公表いたしました決算報告の内容に影響はございません。 」

会計監査人が適正といったから適正だというのでは説明になっていません。計算書類作成の責任は会社にあるのですから、会社が自分で理屈を説明できないとまずいでしょう。

法令違反だろうが買ってしまったものは買ってしまったと会計処理すればよいといいたいところですが、会社法上、無効な取引だということになれば、その解釈に合致した会計処理を行うべきという考え方もあるでしょう。
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