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粉飾発覚の堀正工業、多数の決算書と「幻のM&A」(東京商工リサーチより)

粉飾発覚の堀正工業、多数の決算書と「幻のM&A」

堀正工業という専門商社の粉飾疑惑の続報。同社は、「再度の資金ショートを起こし、事実上倒産した」そうですが...

「会社公表の2022年9月期決算の負債は数十億円だったが、実際は金融債務だけでも300億円を上回る。」

東京商工リサーチは、堀正工業の直近(2022年9月期)の決算書を10通入手して、調べたそうです。

「決算書の様式はすべて同じだが、各勘定科目には一部を除き異なる数字が記載されている。

ここまで大掛かりな粉飾決算((弁護士の金融機関への)通知では「不適切な会計処理」と記載)は、金融機関の内情を熟知した人物の関与を疑わざるを得ないレベルだ。」

実際は40行を超える金融機関と取引があったのに、借入金の内訳には5行しか、のっていなかったそうです(入手したすべての決算書に載っていたのは4行)。

「堀正工業が借入していた金融機関は、TSRが入手した決算書上では三菱UFJ銀行、みずほ銀行、商工中金、群馬銀行の4行が共通し、最後に提出先の金融機関名が記載されている。すべて4行プラス1行の5行が記載されているが、借入金の内訳は4行のうち、群馬銀行だけが残高が共通で、残り3行はすべて異なる。プラス1行の金融機関は、当然だが正しい借入金の残高が記載されている。

ただ、実際は40行を超える金融機関と取引があったとされ、多くは地方銀行だ。」

他の科目も、ほとんどが、決算書によって、金額が違っていたそうです。

「TSRが独自に入手した決算書を分析すると、数値が一致する勘定科目より相違する科目の方が多い。主だった勘定科目の最高額と最低額の差は、定期預金が7億円、受取手形が1億円、商品が3億円、貸付金が4億円などで、流動資産合計は最大19億円の差があった。また、流動負債は支払手形1億円、短期借入金5億円などで、固定負債は長期借入金が16億円の差があった。

損益計算書では、売上高と経常利益以下は同じ。売上原価から経常利益の間で決算書ごとに違いがあった。」

「さらに取材を進めると、20年以上前に堀正工業に粉飾決算を指摘した金融機関があることが判明した。堀正工業の粉飾決算は、かなり長期にわたっていた可能性がある。」

金融機関のコメント。

「ある金融機関は、「堀正工業が長年にわたり、すべての金融機関に異なる決算書を提出していたら、それはそれで“凄いこと”だ」と、様々な感情を込めて話す。」

金融機関の多くにとって、不意打ちだったようです。

「TSRの取材によると、多くの金融機関の堀正工業の債務者区分は「正常先」で、無担保・無保証で貸出されたケースもある。

融資取引では、堀正工業の主力取引先の出身者が役員に入っていたこともプラス要素になったという。」

金融機関をだまして、資金繰りさえつけることができれば、粉飾を長年継続することも可能ということなのでしょうか。

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