会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

井野貴章・PwCあらた有限責任監査法人 代表執行役「会計士は資本市場を守るエッセンシャルワーカー」(財界オンラインより)

井野貴章・PwCあらた有限責任監査法人 代表執行役「会計士は資本市場を守るエッセンシャルワーカー」

あらた監査法人の代表執行役へのインタビュー記事(長め)。

いくつかのトピックを語っていますが、冒頭のコロナ禍のもとでの監査についての発言。あらたのシステムの紹介もあります。

「─ 「ChatGPT(チャットGPT)」などのAIが普及し始めるなど、デジタル化も絡む中、まずは新型コロナ禍の3年間で監査や会計士の役割がどう変化したと考えますか。

井野 2020年にコロナ感染拡大が始まりましたが、当法人も含めて多くの企業で出勤が難しくなるのではないかという議論が出て来ました。実は我々はリモートワークの実験をしていたところでした。ですから、実際にリモートワークが始まったときには、そのまま実行に移すことができ、現場ではそれほどの混乱はありませんでした。

ただ、監査をする場合、これまでは実際に監査先に行っていろいろな資料をいただくのですが、従来は紙でつくられているものを入手していたのが、現場に行けなくなるのでPDF化したものをいただくのです。

そこで問題になったのが、その紙情報が本当にオリジナルの紙を電子化しているかどうかという点でした。電子化の過程で偽造されていないかといった点です。これを確かめなければならず、一度はPDFのデータをもらうのですが、結局、最後には監査意見日の前に現場に行かせてもらって、そのPDFがオリジナルと同じかどうかを確認することになりました。

─ 結局は現場に足を運ばなければならないわけですね。

井野 ええ。ですから、ここで手間暇がかかった。これは真のデジタル監査ではありません。コロナを受けた単なるリモートによる監査です。真のデジタル監査とは企業の証拠書類がデジタルの形で保存されている、あるいは改竄されないようになっている、その状態を電子的に確かめることができることです。

そこで我々の新しい監査のやり方としては、企業がERPシステム(ヒト・モノ・カネ・情報を管理する統合基幹業務システム)を持っている場合は、そこからデータを自動抽出できる当法人のプログラム「エクストラクト」の導入をお願いしており、現在は49社が導入しています。

「エクストラクト」によりデータを自動的に取り込んだら、次はそのデータを分析可能な形態に成形し、複合的な分析に進んでいきます。今は複数のデータを一つの場所に取り込んで自動的な分析をするためのプラットフォームを整備しているところで、23年6月末までに200社超に導入完了予定です。」

いまはリアルの方が増えつつあり、常時約2~5割が実際に監査先に行っているそうです。

「幸いにして当法人では、コロナ禍のリモートによる監査であるがゆえに大きな粉飾を見逃す等の失敗は認識していません」という発言もありますが、つい最近、ビジョナリーホールディングスの問題が出てきました。

(途中で唐突に医療法人の監査の話が出てくるのは、インタビューアーがよくわかっていないから? あらたが医療法人監査に力を入れているとは聞かないのですが)

インタビューは、次回があるようです。

エッセンシャルワーカーという言葉にはややひっかかります。これは、人々の生活にとって必須の仕事だけれども、待遇にはあまり恵まれていないというニュアンスがある言葉でしょう。監査は重要な仕事ですが「エッセンシャル」というほどではないでしょうし、待遇は世間相場からすれば、恵まれている方でしょう。

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