日本M&Aセンターホールディングスの不正会計問題を取り上げた記事。不正そのものというより、周辺問題に注目しているようです。
「いま、国を挙げて中小企業の後継者不足問題にM&Aを活用しようという矢先に、業界の盟主企業で不正がはびこっていた衝撃は大きい。三宅社長は昨年10月に発足した業界初の自主規制団体「一般社団法人M&A仲介協会」の代表理事を兼ねる。
事業承継の専門家によれば、「M&A仲介業は許認可が不要で、参入障壁が低い。しかも契約書などの書式は使い回しできるし、売り手・買い手の両方から手数料を取るから面白いようにもうかる」という。実際、M&AセンターHDの業績は今回の調査による訂正後でも、売上高347億円に対し、営業利益は153億円もある。
M&Aの候補となる「後継者のいない黒字企業」はわが国に60万社存在しているとされる。勢い、市場には悪質業者が参入し、トラブルも増えているという。そこで業界が自浄能力を働かせるための組織としてM&A仲介協会が発足したわけだが、「そのトップの会社で粉飾をやっていたというのはシャレにならない」(同業幹部)。このままでは業界の先行きにも暗い影を落としそうだ。」
「面白いようにもうかる」にもかかわらず、粉飾していたというのはどういうことなのでしょう。悪質性は高いといえるでしょう。
会社は、経営陣の関与はないといっていますが...
「調査報告書によれば、経営陣が不正に関与したり、不正の報告を受けながら黙認したりした事実はなかった。ただし、経営陣からはコロナ禍で顧客との商談が難しくなる中でも営業現場に対し、「コロナに負けない」「コロナを言い訳にしない」というメッセージがたびたび発信された。
これが「担当部長及び末端の営業社員に心理的に大きな重圧」を与えた結果、2020年4月以降、不正な売り上げ報告件数が跳ね上がる。21年3月期は35件、22年3月期(進行期)は上半期だけで39件と、不正はコロナ禍の期間に集中している。」
ごく一部の不心得な担当者がやったというレベルを超えています。仮に、経営陣が本当にこれに気付かなかったとしても、内部統制整備義務に違反しています。
不正会計とは直接の関係はありませんが、役員が週刊誌に取り上げられたことがあるそうです。
「ちなみに大槻常務も19年12月に専務から降格され、営業本部長から「関連事業管掌」に異動になった過去がある。実はこのタイミングで文春砲のターゲットになったのだ。「酒井法子が惚れた『年収6000万円』上場企業専務 熱愛撮」がその記事のタイトル。大槻専務(当時)も実名で報じられた。仕事のできるオトコがプライベートも充実しているのはさすがだが、「取引先の金融機関の間で、薬物事件を起こしたノリピーは交際相手としてどうか、という声が上がった」(事情通)。
M&Aセンターでは案件の紹介などで金融機関との結びつきが不可欠だが、覚醒剤は最終的にヤクザの資金源であり、コンプライアンス的に看過できないというわけだ。」
TOKYO PRO Marketで、上場審査業務等を行う資格も持っているそうです。
「東証にとってもM&Aセンターで不正が広く行われていたことは衝撃だったはずだ。
というのも、M&Aセンターは19年7月に「J-Adviser」の資格を取得し、TOKYO PRO Marketの上場支援サービスをスタートしているからだ。
プロ向け市場であるTOKYO PRO Marketにおいて、J-Adviserは東証から上場審査業務等(上場または上場廃止に関する基準、または上場適格性要件に適合するかどうかの調査など)の委託を受ける重要な役回りで、ほかのJ-Adviserは証券会社が大半である。M&Aセンターがこうした公益性の高い業務を担うにふさわしいのか、東証は再考が必要だろう。」
記事末尾では、「少なくともM&A仲介協会の代表辞任を求める声が出るのは避けられないだろう」とありますが、同協会のサイトを見ると、「「重要なお知らせ」について」というあいまいな題名のプレスリリースが出ていて、代表理事辞任を発表しています。
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