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グッドウィル、買収先に口止め料10億円…国税「所得隠し」

グッドウィル、買収先に口止め料10億円…国税「所得隠し」

「グッドウィル・グループ」の税務調査で所得隠しと指摘された約10億円の支出は、人材派遣会社「クリスタル」の買収を巡ってクリスタル創業者に支払われた「口止め料」だったという記事。もっとも、「口止め料」と断定しているのは読売新聞だけで、形式的には、退職慰労金の金額が妥当だったかというよくある指摘事項です。

「関係者によると、クリスタル創業者は同業者への売却の意思はなく、ファンドを実質的に支配していたのがGWGと知って激怒。さらに保有していたクリスタル株式90%の同ファンドへの売却額は約500億円で、同ファンドが巨額の利益を得たことがわかったため、GWGへの不信感を強めていたという。

 このため、GWGは07年に創業者に退職慰労金として約30億円を支払うことでトラブルについて和解し、経緯を口外しないよう契約を交わしたとされる。

 こうした経緯から、同国税局は約30億円は退職慰労金としては高額過ぎ、うち約10億円は創業者への口止め料などの性質を伴うものと判断したという。・・・」

会社の主張どおり、30億円全額が、買収されたクリスタルにおける創業者への適正な退職慰労金とすると、会計処理としては、2つの方法が考えられます。

ひとつめは、クリスタルの買収時の処理において、30億円の引当金を計上する方法です。その分だけ純資産は減り、他方、買収の対価は変わらないので、引き当てしない場合と比べて、のれんの金額が30億円増えることになります。

もう一つの方法は、買収した後に退職慰労金が発生したと考えて、特別損失かなにかの費用・損失として処理する方法です。

どちらの方法もありえます。

しかし、30億円のうち10億円が「口止め料」だとすると、そもそも会社(子会社を含む)が負担していい支出なのかが問題となるかもしれません。広い意味の買収の対価と考えれば、グループとして支払う合理性がありますが、会社ではなく買収に関与したファンドが巨額の利益を得たことの経緯を口止めするための支出であれば、会社が負担する理由は乏しいようにも思われます。

グッドウィル11億円所得隠し 東京国税局が指摘へ

こちらの記事によれば、10億円は「退職金ではなく、経費計上できない交際費にあたると認定した模様」とのことです。
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