大王製紙前会長が同社の監査法人による面談を受けた際、借入金の使途について虚偽の説明をしていたという記事。
「関係者によると、監査法人は昨年7月の監査で、連結子会社から井川容疑者への貸し付けを把握。さらに同年9月には連結子会社「エリエールペーパーテック」から計14億5千万円の貸し付けがあった事実をつかんだ。実態を明らかにするため、監査法人の担当者が今年5月6日に井川容疑者から事情を聴いた。
井川容疑者は担当者に対し、9月末までに返済する意向を伝えた上で、「(借入金は)個人的な事業の運転資金に使用した」などと説明した。
だが、その後も連結子会社からの借り入れは続き最終的な借入総額は百数十億円にまで拡大し、一方で9月末までの返済額は47億5千万円にとどまった。井川容疑者の説明を受けて、監査法人も調査を進めることはせず、監査役会でも貸し付けについての説明や報告をしなかったという。」
貸付(資金流出)の事実を把握したとされる昨年7月(産経の記事による)の時点で、監査人が何らかのアクションを起こしていたら、これほど大きな問題にはならなかったのかもしれません。
もちろん、監査人には、会社に取引をやめさせる権限はなく、最終的には、財務諸表が適正表示されていれば、会計監査としては最低限役割を果たしたことになるのでしょう。しかし、監査の指針である監査基準委員会報告書では、不正への特別な対応を求めており、経営者の不正や不正疑惑については、重要性がなくても、会社のガバナンスを担当する機関(会計士協会の解釈では日本では監査役)に報告することになっています。
ギャンブルの損の穴埋めのために会社のカネを使うような人物が経営している会社をたまたま担当してしまった不運には同情しますが・・・。
カジノで散財「報道で知った」 大王製紙前会長の父(朝日)
この会社の場合、監査役よりも、父親に報告した方が話が早かったかもしれません。
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