ESG(環境・社会・企業統治)投資が、ロシアの独裁政権に資金を提供しているという記事。
「名前に「ESG」を冠した複数のファンドが、ロシア国営エネルギー大手ガスプロムやロスネフチ、同国の銀行最大手ズベルバンクの株式を保有している。これらのファンドはロシア国債も保有しており、最終的にプーチン大統領の独裁政治の財源となる資金を提供していることになる。」
「2000年代半ばにESGという言葉を考案した組織を率いていたポール・クレメンズハント氏は、今や「ESG投資家が失敗した」ことは明らかだとの見方を示す。
助言会社ブレンデッド・キャピタル・グループの創業者である同氏は「ESGは効果的に利用されていない」と指摘する。投資家は企業のリスクだけでなく、システム全体のリスクを見極めるべきだが、実際には「楽な金もうけへの執着が全てに優先されている」と語った。
ロシアによるウクライナ侵攻で、ESG分野の多くに予期外のエクスポージャーがあることが急速に明らかになりつつある。モーニングスターの研究員らの試算によれば、侵攻直前の時点で世界のサステナブル・ファンドの14%がロシアの資産を保有していた。」
ロシアへの投資でなくても、兵器産業の会社や石油会社への投資が行われている場合もあるそうです。
「ESGファンドは、「通常兵器」を製造する企業や化石燃料企業の株式も購入できる。ESG重視の上場投資信託(ETF)で世界最大のブラックロックの「iシェアーズESGアウェアMSCI米国」は、軍需企業のレイセオン・テクノロジーズや石油大手エクソンモービルなどの株式を保有している。」
企業と政府は別だという見方もあります。
「ロシア関連資産を完全に拒絶することは、良い企業の切り捨てにもつながると指摘する声もある。8900万ドル(約103億円)規模のETFを運用する米サンフランシスコのアダシナ・ソーシャル・キャピタルの創業者、レイチェル・ロバシオッティ氏は、企業が明らかに独裁政権の道具になっていなければ、企業自体と活動している国とを区別することが重要だと指摘する。
「私たちは、企業が本社を置く国の振る舞いによって、その企業を罰することはしない」と同氏は話す。」
常識的に考えたら、戦争によってE(環境)もS(社会)も壊され、G(企業と国の統治)も奪われてしまうわけですから、当然投資対象にはすべきではないでしょう。
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