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スルガ銀行、株主総会「抽選制」についた物言い(東洋経済より)

スルガ銀行、株主総会「抽選制」についた物言い 株主の出席可否をめぐり法廷闘争にまで発展

スルガ銀行が株主総会出席に抽選制を導入したことが株主の反発を買い法廷闘争になったという記事。銀行側の主張は一応認められたそうです。

株主側の言い分は...

「投資用不動産オーナー以外の株主にも出席の機会を担保することや、会場内での「三密」を避ける観点から、2022年の総会では出席株主を抽選で決めることにした。定員は206人で、抽選の実施は外部業者に委託。スルガ銀が当落を恣意的に決める余地はないという。

こうした対応に異議を唱えるのが、同行の株主でもある不動産オーナーたちだ。議決権行使こそ郵送やインターネットでの行使が可能だが、株主提案理由を説明し、会社側と直接質疑応答を行うには、会場に出向く必要がある。抽選制が採用されると、総会に出席して議題・議案に関する説明を求めたり、意見を陳述したりする権利が奪われると危惧する。」

裁判所の決定の理由は...

「27日にスルガ銀が出したリリースによれば、地裁が申し立てを却下した根拠は2つ。1つは経済産業省と法務省が2020年に公表した「株主総会運営に係るQ&A」が、コロナ禍を理由とする出席株主数の制限や事前登録制の採用を容認していることだ。

裁判所の判断には、スルガ銀固有の事情も絡んでいる。2021年のスルガ銀の株主総会において、株主が大声を出したり議長に詰め寄ったりしたことで、感染予防の観点から出席可能な株主を限定するという大義名分をスルガ銀に与えた。そして、事前登録の希望者が定員を超える場合は、株主間の公平を期す意味で抽選制はやむを得ないと判断した。」

銀行のプレスリリース。

株主による当社第 211 期定時株主総会に関する株主権妨害禁止仮処分命令等の申立ての却下決定に関するお知らせ(スルガ銀行)(PDFファイル)

「静岡地方裁判所沼津支部は、①経済産業省及び法務省の令和2年4月2日付「株主総会運営に係るQ&A」では、当社が本定時株主総会において採用した事前登録制と同様の事前登録制を採用することが許容されており、かかる見解は現在までに変更されていないこと、②当社の第210期定時株主総会においては、議事の最中に出席した株主が大声で不規則発言をしたり、議長がいた会場前方の演台に複数の株主が係員の制止を無視して詰め寄る場面が散見されるなど、飛沫感染等のリスクが生じていたことからすると、現時点で不特定多数の株主が当社の定時株主総会に全国から集まる際に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止という公益目的のために出席する株主数を一定数に限定し、かつ、株主間の公平性を担保するために、事前登録の希望者が会場に設置する座席数を超える場合には事前登録者から抽選により出席者を選定するという事前登録制を採用することは、やむを得ないものであり、これが合理性を欠くものであるとは認められない等として、債権者らの主位的申立ては理由がないと判断しました。 」

経産省・法務省のQ&Aは、出た当時は新型コロナ対策としてやむを得ないという感じでしたが、それをいつまで続けるのか...。Q&Aでは「設定した会場に株主が出席していなくても、株主総会を開催することは可能」とまで書いてありますが、現状では認められないでしょう。

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