PwCあらた監査法人が、ITを使った最新監査手法を導入するという記事。
「新システムは「Halo(ヘイロー)」と呼ばれ、昨年7月に国内に導入した。関連システムを含め、数百億円を投じた。決算処理に関する1年間の全帳簿データをコンピューターが読み取り、数値だけでなく誰がいつ入力したかまで細かく分析する。
例えば、実際の取引日から帳簿の入力日まで時間が経ちすぎていたら、何らかの会計操作が疑われる。きりのいい「1千万円」、ぞろ目の「999万9999円」なども架空入力の可能性がある。ほかにも経理担当者と別の人が入力しているなど、不自然な点を瞬時に見つける。
従来型の監査では、最大で1千万項目ほどある帳簿から数百項目を選び、会計士が手作業で調べる。新システムは不正の可能性が高い部分を絞り、そこに人手を集中できるので、同じ人数や期間でより効率的に不正を見つけられる。いまは会計士がコンピューターに何を調べるか指示するが、将来的には人工知能(AI)を生かして不正の芽を見抜けるようにする。」
大手監査法人なら、会社から全仕訳データをもらって分析するということはやっていて、その点では新しくはないと思います。分析方法が工夫されているということでしょうか。さすがに、人工知能を使うところまでいけば画期的ですが...。
また、数百億円を投じたというのは、あらた1社ではなく、全世界のPwCを合計してということででしょう。PwCが莫大な投資をしたので、あらたも使わざるを得ないということでは。
ITに関してではありませんが、識者のコメントも出ています。
「青山学院大の八田進二教授(会計学)は「日本の経営者は前任者の指名で就くため、前例を踏襲しがち。不正を一掃する姿勢になりにくい」という。米国では2001年発覚の「エンロン事件」以降、大企業の新たな不正会計は減ったという。日本では、その後もカネボウ、日興コーディアル証券、オリンパスなど不正が発覚し続けている。
大手監査法人幹部は「日本は不正会計で経営者が受ける罰が軽すぎる。不正に手を染めやすく、不正を見抜いてもらおうとする意識も薄い」。エンロン事件では元CEOに禁錮24年4カ月、罰金4500万ドル(約49億円)が科された。日本では堀江貴文・ライブドア元社長の懲役2年6カ月が最も重い処分だ。
経営者の意識は変わるのか。経団連の小畑良晴・経済基盤本部長は「東芝ほどの大企業が不正会計で存亡の危機に陥った。全ての経営者が『不正をしてはいけない』と強く認識したはず」と話す。」
東芝は経団連からの除名という罰は受けているのでしょうか。経済団体も自浄能力を示してほしいものです。
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