新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議「最終報告(案)」に関する意見募集について
内閣府の「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議「最終報告(案)」」が、2023年4月28日に公表されました。
(「中間報告」が昨年12月に公表されていました。)
この有識者会議では、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」及び「経済財政運営と改革の基本方針 2022」に基づき、民間による社会的課題解決に向けた公益的活動を一層活性化し「新しい資本主義」の実現に資する観点から、公益認定の基準を始め現行の公益法人制度の在り方を見直し、制度改正及び運用改善の方向性について検討を行うため、議論してきたそうです。
以下、報告書案より、適宜、抜き書きしました。
1.改革の意義及び基本的方向性
「公益法人が、より柔軟・迅速な公益的活動を展開していくことが可能となるとともに、より国民からの信頼・協力を得られる存在となることを目的として、公益法人制度全般の抜本的な改革を行うべき」
2.より柔軟・迅速な公益的活動の展開のために
(1)資金のより効果的な活用のための財務規律の柔軟化・明確化
「フロー面での収支相償原則やストック面での遊休財産規制といった公益法人の財務規律について、法人の実情や環境変化に応じ、自らの経営判断と説明責任において資金を最大限効果的に活用できるよう、規律内容を柔軟化・明確化する。 」
① 中期的な収支均衡の確保
ア 「中期的な収支均衡」
イ 「公益充実資金(仮称)」の創設
ウ 「指定正味財産」の「指定」における使途制約範囲の緩和
② 遊休財産(使途不特定財産)の適正管理
(2)柔軟・迅速な事業展開のための行政手続の簡素化・合理化
「公益認定・変更認定や合併等に関する行政手続を簡素化・合理化した上で明確化する。 」
① 公益認定・変更認定手続の柔軟化・迅速化
② 合併手続等の柔軟化・迅速化
3.より国民からの信頼・協力を得ていくために
「ガバナンスの充実に向け、法人運営の透明性の一層の向上、法人の内外からのガバナンスの充実等について、以下のとおり取り組む。 」
(1)透明性の一層の向上
① 法人運営に関する情報開示の充実
ア 開示情報の拡充
イ 法人による財産目録等の公表(努力義務)
ウ 行政庁による財産目録等の公表
② わかりやすい財務情報の開示
「今般の財務規律柔軟化に伴う法人の説明責任の充実という観点からも、国民に分かりやすく財務情報を開示するため、損益計算書・貸借対照表の内訳表の作成による区分経理を推進するとともに、これに伴う定期提出書類の簡素化等に取り組む。 」
③ 法人情報の利活用の向上
ア 一元的なプラットフォームの整備
(2)法人の自律的なガバナンスの充実
① 個々の法人の実情に応じた自主的・自律的な取組の促進
② 理事会・監事等の機能強化、会計監査機能強化等
ア 外部理事・監事の導入
イ 理事と監事の特別利害関係排除
ウ 会計監査人による監査機能強化
「・具体的には、法令で一律に必置とするのは、現行の「収益1000億円・費用損失1000億円・負債 50 億円以上」について、「収益 100 億円・費用損失 100 億円・負債 50 億円以上」とすることを検討する。」
エ 評議員の選任
(3)行政による適正な事後チェック
4.民間による公益的活動の活性化のための環境整備
① 公益信託制度改革
「公益信託制度を公益認定制度に一元化し、公益法人認定法と共通の枠組みで公益信託の認可・監督を行う仕組みとすることで、民間による公益的活動に関する選択肢を多様化し、活性化するための環境を整備」
② 公益法人による出資等の資金供給
ア 公益法人による株式保有等の資産運用
「資産運用における株式保有等について公益法人認定法による制約をより具体的に明確化する。」
イ 公益目的事業としての出資
「社会的課題解決に資する資金供給の一環として公益性を認定する際の考え方・基準を整理・明確化する。」
③ 公益法人行政の DX の推進
公益法人行政に関する全ての手続のデジタル完結・ユーザビリティ向上
④ 法人・経済界等との対話の推進等
(「透明性」とかいっていますが、この報告書案の意見募集期間は半月強しかありませんでした(すでに募集は締め切っています)。)
会計士協会も意見を提出したそうです。
内閣府「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議「最終報告(案)」」に対する意見について(日本公認会計士協会)