会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「エニタイム」会長が取締役会の決定覆す異常事態(東洋経済より)

「エニタイム」会長が取締役会の決定覆す異常事態

Fast Fitness Japan(東証プライム)の会長が、株主総会(23日開催予定)での取締役選任について、会社提案を覆すような株主提案を行っているという記事。

「そのファストフィットネスが今、前代未聞の株主提案で大きく揺れている。現役の取締役会長である大熊章氏と監査等委員を務める取締役の高嶋淳氏が結託し、自分たちを含めた取締役会で一度決定した会社側の提案を、資本の論理で強引に覆そうとしているからだ。」

「取締役会の決定を経た後の4月25日に、大熊会長と高嶋氏らが連名で株主提案を提出した。現役の取締役会長が株主提案を行うこと自体が異例だが、経営者を監督する立場にある監査等委員が共同で提出していること、なによりその提案の中身が市場関係者の注目を集めている。

大熊会長らが提出した株主提案は、高嶋氏の再任と、高嶋氏の再任に反対した社外取締役の首をすげ替えるものだった。」

高嶋氏は会長の元部下だそうです。

指名報酬委員会が、高嶋氏の再任に反対した理由は...

「取締役会から独立した立場で候補者の選任や報酬額を決める指名報酬委員会は、高嶋氏の重任に反対した主な理由として「当社の監査等委員である取締役は(大株主である)大熊章氏の職務を監督することが重要かつ基本的な責務の一つ(中略)ところが、高嶋淳氏は大熊章氏を監督するどころか、大熊章氏の利益を代弁又は擁護」していると指摘。

さらに「頻繁に(大熊氏が代表を務める)株式会社大熊製作所に通う等、同社への無償の役務提供があったと疑われかねない不用意な行動が確認されており、大熊章氏からの独立性が確保されているとは必ずしも言えない状態」と糾弾している。」

記事の表を見ると、会社提案では指名報酬委員として2人の会計士が入っています(もう1人は弁護士のようです)が、会長による株主提案ではクビになることになっています。社外役員が筋を通すのもたいへんそうです。

おなじみの八田教授のコメント。

「コーポレートガバナンスや監査の実務に詳しい青山学院大学名誉教授の八田進二氏は「本来独立した立場であるべき監査等委員が、特定の株主にくみすることはあってはならない。取締役としても、外部の視点を取り入れつつ、上場企業として健全な運営をしていくという近年のガバナンスの考え方とは真逆の行いだ」と指摘している。

さらに「指名報酬委員会が(高嶋氏を)再任しなかったのは、ガバナンスが機能した結果と受け止めるべきだ。自分たちの提案が会社提案よりも企業価値の向上につながるというのであれば、少数株主に対して丁寧に説明するべき」という。」

同社の株主総会招集通知。

2022年 第12回定時株主総会招集ご通知(Fast Fitness Japan)(PDFファイル)

経営陣と筆頭株主(トピー工業)が争っていた北越メタルでは、筆頭株主の株主提案が可決されました。

北越メタル人事巡る株主提案可決(新潟日報)

「子会社を含め北越メタル株の約35%を保有するトピー側が提案した同社専務の大洞勝義氏ら3人が取締役に選任された。新潟県内上場企業と筆頭株主による異例の株主委任状争奪戦は、筆頭株主の勝利で終わった。」

北越メタル、「35%の大株主」とバトル勃発の裏側(東洋経済)

(補足)

Fast Fitness Japanの結果が出ました。

エニタイム社長、総会での会長勝利に「敗戦の弁」
オーナー会長が意見対立の社外取3人をクビに
(東洋経済)
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