環境デュー・ディリジェンスに関するハンドブックの公表について
環境省は、「バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門 ~環境マネジメントシステム(EMS)を活用した環境デュー・ディリジェンスの実践~」を、2023年5月8日に公表しました。
環境省は、企業の環境デュー・ディリジェンスへの取組を支援するため、2020年に「バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門~OECDガイダンスを参考に~」を公表しています。
今回のハンドブックでは、OECDガイダンスが求めるDDのプロセスについて、環境マネジメントシステム(EMS)等の既存の企業のリスクマネジメントとの関係を整理したとのことです。
背景としては...
「経済開発協力機構(以下「OECD」という。)の「OECD多国籍企業行動指針」や国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」では、企業行動による悪影響を特定・防止・軽減する手段としてデュー・ディリジェンス(以下「DD」という。)プロセスの実施を求めています。そして、欧州を中心にDDプロセスの情報開示や実施を法規制化する動きが進んでおり、その対象は、人権にとどまらず環境課題にも広がっています。」
環境マネジメントシステム(EMS)とは...
「組織や事業者が、その運営や経営の中で自主的に環境保全に関する取組を進めるにあたり、環境に関する方針や目標を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくための工場や事業所内の体制・手続き等の仕組み」
「EMSには、環境省が策定したエコアクション21や国際規格のISO 14001等がありますが、本書では、国内及び国際的にも広く用いられているISO 14001を対象に、環境DDプロセスとの親和性について解説します。」
以下のような内容です。
1. はじめに:本書の背景と目的
2. EMSを活用した環境デュー・ディリジェンスの実践
(1)総論:デュー・ディリジェンスとは
(2)総論:環境デュー・ディリジェンスを実践する上での重要な考え方
(3)環境デュー・ディリジェンスとEMSのプロセスの親和性
3. 参考情報
70ページ弱のパワポ資料です。
参考情報より、EUの環境DD関連法制度の全体像。
企業の開示にも関係しています。
ところで、環境といえば、最近、この問題が気になっています。
大阪・摂津市でPFOA 基準値の最大100倍以上検出 市民団体が環境省に申し入れ(2023年3月)テレビ朝日)
「大阪府摂津市にあるダイキン工業の製作所周辺から人体に有害な可能性のある有機フッ素化合物の一種「PFOA」が高濃度で検出された問題で8日、市民団体が土壌の調査や対策を行うよう環境省に申し入れました。」
「摂津市にあるダイキン工業の淀川製作所では、2012年にPFOAの使用をやめたということですが、2020年度の環境省の調査で、周辺の地下水などから国の暫定目標値1リットルあたり50ナノグラムの100倍を超える最大5500ナノグラムが検出されています。」
ダイキン幹部、PFOAを「危険なんですか? 」(24)(Tansa)(このメディアで継続的に取り上げているようです。)
ダイキンは巨大企業ですから、水俣病のチッソみたいなことにはならないとは思いますが...
PFOAは、映画にもなっています。
「1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロットが、見知らぬ中年男から思いがけない調査依頼を受ける。ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営むその男、ウィルバー・テナントは、大手化学メーカー、デュポン社の工場からの廃棄物によって土地を汚され、190頭もの牛を病死させられたというのだ。さしたる確信もなく、廃棄物に関する資料開示を裁判所に求めたロブは、“PFOA”という謎めいたワードを調べたことをきっかけに、事態の深刻さに気づき始める。デュポンは発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、その物質を大気中や土壌に垂れ流してきたのだ。やがてロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏みきる。しかし強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていくのだった……。」