新型コロナウイルス対策で酒類の提供停止に応じない飲食店を金融機関を使って締め付けようとしたことについて、大臣が批判されていますが、実は、金融庁らと事前に協議の上出してきた策だったそうです。
「新型コロナウイルス対策で酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、取引金融機関から順守を働き掛けてもらう政府の方針決定を巡り、内閣官房が8日付で各府省庁に、所管する金融機関に政府方針への協力を求めるよう依頼する文書を出していたことが12日、分かった。内閣官房は、銀行などを監督する金融庁や、政府系金融機関を所管する財務、経済産業両省と事前に調整や検討をしていたと明らかにした。」
内閣官房が出した文書は...
「8日付の文書は「コロナ感染症対策の徹底促進について」との事務連絡。「所管金融機関等へご依頼いただきたい事項」として、金融機関が融資先の事業者に対し、新型コロナ特別措置法に基づく要請や命令の順守などを働き掛けるよう「よろしくお取り計らいをお願いします」としている。」
金融庁も含めて、役所というのは、責任を負わなくてよい「働きかけ」が大好きなのでしょう。
会計士協会や監査法人なども、金融庁から、法定権限外の指導をいろいろ受けているのでは。
(社説)西村氏の発言 信頼が失われるばかり(朝日)
「コロナ対策の特別措置法では、緊急事態宣言などの地域では、酒を出す飲食店に時短や休業を要請・命令でき、従わない場合は罰則もある。だが、取引先を通じて経営に打撃を与えるようなことは、特措法にも緊急事態宣言の基本的対処方針にも書かれていない。
それゆえ「働きかけの依頼」のかたちをとったのだろうが、金融庁や国税庁といった規制官庁からの「依頼」は、事実上の強制になりがちだ。一方で、金融機関は、ただでさえ資金繰りの厳しい飲食店の死命を制する力も持ちうる。結果として過剰な制裁になりかねない。」
「自ら招いた準備不足に浮足だち、場当たり的に強権的な手法に飛びつくようでは、信頼は失われる一方だ。」
こちらは、まだ撤回されていないようです。
酒販業者はカンカン! 国税庁が反社顔負け“越権圧力”継続中のナゼ(日刊ゲンダイ)
「内閣官房コロナ対策推進室と国税庁酒税課は、8日付の事務連絡で「酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じない飲食店との酒類の取引停止について(依頼)」と題した文書を「酒類業中央団体連絡協議会各組合」宛てに送付している。
酒販業者が、要請に応じず酒類提供を行う飲食店を把握した場合、〈新型コロナウイルス感染症の拡大防止の徹底を図る観点から、そうした行為を助長しないよう、都道府県が要請を行っている期間中、当該飲食店と酒類の取引を停止するようお願いします〉とハッキリ「取引停止」を求めているのだ。」
学者の意見は...
「だいたい国税庁はいったい、いつから“防疫業務”をするようになったのか。立正大特別研究員(税法)の浦野広明氏が言う。
「行政指導を行えるのは所掌事務の範囲内です。感染防止のため取引停止を依頼するのは、国税庁の所掌ではなく、明らかに越権行為で違法。酒類販売の免許を与える権限を持つことから、求めれば、業者は従うと踏んだのでしょう。法律に基づく行政を破壊する行為であり、税務行政に汚点を残すことにもなる。酒販業者への依頼もすみやかに撤回すべきです」」
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