日本公認会計士協会は、国際監査・保証基準審議会(IAASB)による監査基準のクラリティ(明確化)プロジェクトに対応して、リスクモデルに関係する監査基準委員会報告書のクラリティ版を、2008年6月30日付で公表しました。
今回改正案が公表されたのは以下の報告書です。
・監査基準委員会報告書第37号「監査計画(中間報告)」(27号の改正)
・同第38号「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示のリスクの識別と評価(中間報告)」(29号の改正)
・同第39号「評価したリスクに対応する監査人の手続(中間報告)」(30号の改正)
・同第40号「財務諸表監査における不正(中間報告)」(35号の改正)
明確化は、「要求される事項」と「適用のための指針」を明確に区分して記載し、各基準に当該基準の目的を記載するという起草方針で行われているそうです。たしかに現行の監査基準委員会報告書(特に29号や35号など)は、基準が非常に入り組んでおり(しかも長い)、何度読んでもどこまでが幹で、どこからが枝葉かがよくわからない代物であり、整理は必要でしょう。
規定の中身に変更はないようですが、以下のような用語の見直しが行われています。
・「経営者の主張」→「アサーション」(Assertion)
・「財務諸表項目レベル」→「アサーション・レベル」(Assertion level)
・「取引」→「取引種類」(class of transactions)
適用は、暫定的に、2010年4月1日(平成22年4月1日)以後開始する事業年度に係る監査からとされています。しかし、他の報告書のクラリティ作業の進捗状況(クラリティ版は全報告書の一斉適用を目指している)や、諸外国の動向により、延期の可能性もあります。
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