UNITHINXというインド関連の事業をしていた会社の倒産を取り上げた記事。新型コロナ倒産のように見えましたが、それだけではなかったそうです。
「インドビールなどの輸入販売やインド料理店を経営していたUNITHINX(東京都品川区)が7月29日、負債約17億円を抱えて東京地裁から破産開始決定を受けた。
同社は2004年12月に設立され、インド貿易で業績を伸ばしていたが、コロナ禍で様相が一変した。2018年4月期の売上高は11億9288万円と順調に伸ばしていたところに、新型コロナ感染拡大が襲い掛かった。得意先の飲食店が休業や時短営業に追い込まれ、アルコール飲料が急減。インターネット通販サイトの販売を強化したが、業績は回復しなかった。」
金融機関が預金取引を調べたところ、あやしいカネの動きを見つけたそうです。
「UNITHINXも2020年4月期決算の作成が遅れ、金融機関など関係先へ期限通りに提出できなかった。この時点では提出遅れ自体は特に問題視されず、金融機関でも与信判断に変化はなかった。
ただこの間、金融機関は漫然と待っていたわけでない。決算書提出が遅れた企業の過年度決算の見直しを進めており、UNITHINXの取引行も例外ではなかった。
その見直しの中で、ある金融機関が預金残高の不自然な動きに着目した。調べを進めていくと、取引先からの入金のはずがUNITHINXの別の取引行から振り込まれていたケースも判明した。
遅れて提出された2020年4月期の決算書は、前年13億円以上あった売上高が、9億円に急減し、営業利益や経常利益、最終利益はそろって1億円を超える大幅赤字という惨状だった。」
金融機関には、それぞれ(科目)明細書がバラバラな決算書が提出されていたようです。
「取材を進める中で、複数の関係先に提出された2020年4月期の決算書を入手した。貸借対照表・損益計算書・株主変動計算書は、各提出先とも同じものだった。ところが、附属明細書の預金と借入金明細はまったく異なっていた。
金融機関Aに出された附属明細書では、A・B・C・D・E……と取引金融機関名が記載されているが、金融機関BではB・C・D・E……と続き、金融機関Aの名前がない。別の金融機関でも、金融機関AやBに提出された明細表にない金融機関の名前が記載されていた。
結局、複数の決算書を見ると、同一の明細書は何ひとつ確認できない。ただ、預金と借入金のそれぞれの合計金額はどれも同じ。突き合わせると明らかに信ぴょう性を欠く決算書だった。」
取引している金融機関の数がものすごく多かったそうです。借入金の残高も急増していました。
「中小企業の場合、金融機関との取引は普通3~5行程度だ。多くの金融機関と取引をすれば、社内の事務手続きは非効率で仕方がない。
ところがUNITHINXの取引金融機関は、約20行あった。しかも、都内の金融機関だけでなく、中部や四国などの地方銀行・第二地銀の名前がズラリと並ぶ。コロナ資金もこうした金融機関を窓口に調達していた。
UNITHINXは2019年4月期まで順調に業績を伸ばし、金融機関からの借入金は2019年4月期の約6億円から、2020年同期は約2.6倍に急増した。その裏には実権者のX氏の動きが関わっている。」
記事で粉飾決算といっているのは、普通の意味とはちょっと違って、他の金融機関からの借入資金を、営業上の入金であるかのように金融機関をだましていたということを指しているようです。
そのような資金操作は見抜かれてしまいましたが、それとは別にBSの資産側で問題が発覚しました。
「UNITHINXは2020年4月期で、金融機関から預金・借入金の操作を見抜かれた。それとは別に、貸借対照表に計上された4億円以上の仮払金も違和感を放っていた。...
2020年4月期の決算書で仮払金の金額が大きかったため、金融機関がX氏に説明を求めると、インドのアイドルグループに投資したことを明らかにした。関係者によると、このアイドルグループは今後活動を開始する予定で、インドの大手財閥グループともつながりがあり、投資は心配ないとX氏は説明していたという。」
この仮払金については、仮払金という科目での表示が正しいかどうかは別として、それだけで粉飾とはいえないでしょう、もちろん中身は精査して資産性があるのか判断する必要があり、また、銀行をだましていたとすれば大問題ですが...。
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