経済産業省が、持続化給付金事務事業の中間検査の結果を10月12日に公表したという記事。
「国の持続化給付金事業で再委託や外注が繰り返された問題で、不透明な業務や支出の無駄がないかをチェックする「中間検査」を行っていた経済産業省は12日、検査結果を公表した。契約済みの全ての外注(61社分)で、費用を抑えるための複数業者による相見積もりを取っていないことが判明したが、経産省は「市場価格より高いが、不当な請求とは言えない」と結論づけた。」
「検査結果によると、審査(事務費78億円)、申請サポート(137億円)、コールセンター(12億円)にかかった人件費は、大手人材派遣会社の平均派遣料など複数の市場価格と比較し、いずれも市場平均より高額だった。ただ、緊急に多数の人を確保する事情があったとして、外部の公認会計士の意見も踏まえ、「不当とは言えない」と結論づけた。
一方、元請けの一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」と再委託先の電通の人件費については、相場との比較はせず、給与をもとに省内マニュアルに基づき計算した額が正しいかを確認するにとどめる。」
「検討会の梶川融委員長は「一定の経済的合理性のある範囲内での支出だと受け止めた」と述べた。」
この一般社団法人は、官製談合組織みたいなものだと思いますが、それに加わっている会社が暴利をむさぼっているわけではないという結論のようです。しかし、肝心の電通の人件費を確かめていないのは不十分でしょう。電通自体は高い利益率をあげているのではないかもしれませんが、もともと相当高いと想定される超一流広告会社社員の人件費原価プラス手数料をチャージしているのでしょうから、かなり割高になっている可能性はありそうです。
電通、パソナら身内で利益分与 持続化給付金、外注先8割公表せず(東京新聞)
「持続化給付金の委託問題の焦点の1つは、サービスデザイン推進協議会(サ協)から再委託・外注が繰り返された多重下請け構造の不透明さにある。契約金1億円以上の事業者だけで4次下請けまで64社(元請けを含む)あり、経産省はこのうち8割近くの社名を公表していない。さらに、いずれの社も外注先を選んだりする際、複数業者からの相見積もりを取っていなかった。競争が働かず、外注費が膨らんだ懸念がある。
社名が明らかになっている15社は元請けのサ協を設立した電通や、パソナ、電通の子会社などで、身内で利益を分け合う構図となっていた。経産省関係者も「身内間で事業を外注すれば、見積もりが甘くなる可能性はある」と認める。」
検査結果は、「調達等の在り方に関する検討会」(委員長の梶川融氏は、太陽有限責任監査法人 代表社員 会長)という会議の資料として閲覧できます。体裁から判断すると報告書そのものではないようです。
↓
https://www.meti.go.jp/information_2/downloadfiles/201012_shiryou.pdf
報告書のまとめの部分。
検査の体制などについて。専門家を入れたことを強調しています(会計士協会も協力)。なぜか会計士だけは実名が明記されています。
これもひどい...。
↓
一般社団に支出1.3兆円、最多は電通系3708億円 支出元は経産省突出 15~18年度予算(Yahoo)(毎日新聞配信)
「集計可能な15年度からの4年間に一般社団法人に委託された事業は延べ5413件で、委託先は計1369法人。支出額のトップは電通が設立した一般社団法人「環境共創イニシアチブ(SII)」で、エネルギー関連事業など30件、計3708億円を支出していた。」
「SIIは補助金の交付事務を行うに当たり、説明会の開催やコールセンターの運営にかかる事務などを他の事業者に再委託している。一般社団法人は法人に参加する社員企業への利益の分配を禁止しているが、こうした一部事務の委託先には本体の電通も含まれる。電通が設立した法人に補助金が流れ、その補助金で電通に再委託する構図は「サービスデザイン推進協議会(サ推協)」から電通やその子会社などに再委託された持続化給付金事業のスキームと同じだ。」
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