ジャスダック上場のYOZANの会計監査人が辞任し、後任監査人が選任されたというプレスリリース。
「会計処理上の問題に起因するものではないものの、当社事業計画の実行可能性の問題等により継続して監査を行うことは厳しく、辞任したいとの申出がなされた」とのことです。
「事業計画の実行可能性の問題」の具体的な内容についてはまったくふれていません。会社全体の事業計画の実行可能性の話だとすると、ゴーイングコンサーンの話になりますが、前期の有報の監査報告書には、すでにゴーイングコンサーンの追記情報が記載済みです。
ちなみに、昨年公表された金融審議会公認会計士制度部会報告「公認会計士・監査法人制度の充実・強化について」では、「監査人交代時の対応」について以下のように述べています。
「監査人の交代については、監査人の独立性や地位が脅かされる形での交代を防止する等の観点から、交代が生じた際の情報開示について、その充実・強化を図っていくことが適当である。
このため、現在、取引所の規則において上場会社に求められている監査人の交代に係る適時開示について、交代があった旨に加えて、交代の理由についても十分な開示を求めていくことが検討されるべきである。また、証券取引法上の臨時報告書やその後の有価証券報告書等においても、上場会社以外の開示会社も含めて、適切な開示が求められるべきである。
また、監査人の交代があった場合、監査人からも適時に開示がなされることが重要であり、監査人の交代の際に会社と監査人との間に意見の不一致があった場合等には、例えば、会社の臨時報告書や証券取引所における開示等を通じて監査人から適切な開示が行われていくよう制度の整備が図られるべきである。」
前任監査人からも交代について開示すべきだという意見です。これについては、公認会計士法改正に伴う内閣府令改正で詳細に定められるようです。それが適用されれば、このプレスリリースのようなケースでは、前任監査人からも何らかの開示がなされることになるのでしょう。
ただ、個人的には、監査人からの情報開示は監査報告書に集約されるべきであり、それ以外によけいなことはいうべきではない、と思います。投資家に対する情報開示の責任は会社にあるという原則が崩れてしまうからです。
当サイトの関連記事
最近の「会計監査・保証業務」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事