アスクル(東証1部上場)の筆頭株主のヤフー(この記事によればアスクルはヤフーの連結子会社)が、アスクルの社長に退陣を要求していたという記事。
ヤフーはアスクルの子会社を狙っているそうです。
「状況が変ったのは、ヤフー社長が宮坂氏から川邊健太郎氏に代わった昨年以降。2018年秋にヤフー側からLOHACO事業の分離を求める提案がなされ、2019年1月にはLOHACO事業をヤフーに譲渡するよう正式要請があったという。アスクル側は、この提案を社外取締役などにも諮ったうえで、今後成長が見込めるLOHACO事業の売却はアスクルの既存株主の利益につながらないとして正式に拒否したという。
それ以降、岩田社長への退陣要求を強めているとされ、ヤフーの意思に忠実な社長へのすげ替えを画策しているとみられている。アスクル側はこうした行動自体が、業務資本提携に反するとして強く反発しているという。ヤフー側が株主提案などを正式に出さないのは、この業務資本提携契約があるためとみられる。
金融関係者によると、業務資本提携には、相互の信頼関係が崩れた場合には、ヤフーが持つアスクル株式を買い戻すことができるという契約も含まれているといい、アスクル側は株の買い戻しも検討している模様。ヤフー側が売却に応じれば、大手ファンドや取引先企業などに幅広く株式保有を求めていくことになる見通しだという。」
ルノーが日産を食い物にしているという批判を多く見かけますが、この件も同じことなのでは。
ソフトバンクのグループ再編が絡んでいるのだそうです。
「ソフトバンクGは電話事業のソフトバンク(以下ソフトバンクKK)を子会社化したうえで上場。ソフトバンクG傘下だったヤフーは、ソフトバンクKKの傘下に変更された。さらに、ヤフーは今年10月に「Zホールディングス」に社名変更し、新設する「ヤフー」がその傘下に置かれる予定。アスクルはZホールディングスの傘下に入ると公表されている。」
「グループ再編によって、頂点のソフトバンクGからソフトバンクKK、Zホールディングス、アスクルと「ひ孫」会社までが上場する形になる。
かねてから「親子上場」は世界の資本市場の常識から外れた形態として問題視され続けてきたが、「ひ孫」までが上場を続けることになるわけだ。
上場企業傘下に上場企業を何重にも連ねるソフトバンクGのグループ形態は、上場を審査する東京証券取引所や金融庁、会社法学者なども疑問視し始めている。」
親子上場は認めないという原則を無視してまで、携帯電話事業のソフトバンクの上場を認めたことが間違いだったのでしょう。
それにしても、ヤフーによる社長退任要求が通らないという状況だとすると、そもそも、ヤフーがアスクルを支配している(支配力基準に従ってアスクルは子会社である)といえるのか、微妙な感じもします。支配していないのに連結していれば、虚偽記載ということになるでしょう。
会社からは、この報道に関しプレスリリースが出ていますが、否定はしていません。
↓
本日の一部報道について(アスクル)(PDFファイル)
「本日の「現代ビジネス」において、ヤフー株式会社と当社との経営権に関する報道がなされておりますが、当社が発表したものではありません。」
「現代ビジネス」のこの記事を是非読んでほしいというプレスリリースでしょうか。
(補足)
ヤフー側の方針が正式発表されたようです。アスクル側の提携解消申し入れも明らかになったそうです。
アスクル社長再任否決へ ヤフー、提携解消に応ぜず(産経)
「ヤフーは17日、傘下の通販大手、アスクルの岩田彰一郎社長の取締役再任に反対すると発表した。8月2日のアスクルの株主総会で議決権を行使する。筆頭株主のヤフーに続き、第2位の株主となる事務用品販売のプラス(東京都港区)も反対を表明しており、再任は否決される見通し。アスクルもインターネット通販事業再編を求めるヤフーに反発しており、資本業務提携の解消を申し入れたと明らかにした。」
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