会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「経営不在」「理事長独裁」の私立大学に歯止めはかかるか(現代ビジネスより)

「経営不在」「理事長独裁」の私立大学に歯止めはかかるか
文科省「ガバナンス改革会議」渋々発足


文部科学省が「学校法人ガバナンス改革会議」というのを設けたという記事。学校法人ガバナンス改革案を策定するのだそうです。

背景は...

「日本の私立大学は、長年にわたる国からの多額の補助金支給で「ぬるま湯」体質が続き、事実上「経営不在」の状況が続いてきた。一方、少子高齢化が進み大学の経営環境が厳しさを増す中で、教授会の位置づけを変え、理事会に経営権を集中する改革などが進められてきた。

そんな中で、一部の私立大学では「理事長独裁」による内紛が世の中を騒がせている。こうしたことから、学校法人の理事会のあり方を見直すべきだという指摘が与党などから高まり、政府は繰り返し「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で改革姿勢を打ち出している。」

「2022年春に国会に私立学校法など関係法令の改正案を提出する」そうです。

会議のメンバーには、会計士協会元会長やコーポレートガバナンスに強い弁護士・学者、日本監査役協会会長だった人など、企業のガバナンスに関係の深い人たちが入っているようです。

「座長は日本公認会計士協会の会長などを務めた増田宏一氏で、メンバーには弁護士の久保利英明氏や日本監査役協会の会長を務めた岡田譲治・元三井物産副社長、慶應義塾塾長を務め改革派として知られる安西祐一郎氏、中央大学法科大学院教授の野村修也氏などが任命された。大臣直属の会議体という位置づけで、評議員会の強化など改革点を明確化したうえで、法改正を行うこととしている。」

文科省自体はあまり乗り気ではないそうです。

「会議の設置趣旨やメンバーをみると、文科省も遂に改革派に転じたかのように見えるが、どうも様子が違う。担当の高等教育局私学部私学行政課が、「改革会議自体を骨抜きにするか、空中分解させようと画策しているのではないか」(関係者)との見方が出ている。」

「会議で自分たちの意にそぐわない結論が出た場合には、会議の結論はあくまで参考だとして、自分たちのやりたいように法改正する準備をしているのだという疑念も改革会議メンバーの間に生まれている、という。」

会計士協会元会長が座長というのも微妙です。これまで学校法人監査の大きな不備が指摘される都度、会計士がやっている学校法人監査に意味があるのかという議論が、文科省から出ていたと聞きます。つまり、会計士協会は、会計士の収入源のひとつである学校法人監査を文科省に人質に取られていることになり、文科省に対して厳しい意見を言える立場ではありません。座長に就任した元会長は、協会から派遣されたわけではなく、個人としての見識を買われて選ばれたのでしょうから、文科省や会計士協会、会計士業界に忖度することなく、役割を果たされることを期待します。

上記記事の中でふれている雑誌FACTAの記事。

前代未聞!東京理科大「悲しき学長不在」(FACTA)(記事冒頭のみ)
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