会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

〈信用調査ファイル〉丸信「うまい話」の落とし穴 架空取引見抜けず倒産(日経より)

〈信用調査ファイル〉丸信「うまい話」の落とし穴 架空取引見抜けず倒産(記事冒頭のみ)

丸信工業という会社の倒産を解説した記事。帝国データバンクの寄稿です。

「水素水サーバーやポンプ用品の販売を手がける丸信工業(東京・渋谷)が5月8日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。外部から持ちかけられた新規事業が不透明な取引に姿を変え、最終的には架空取引のワナを見抜けず、連鎖倒産してしまった。」

この「うまい話」をもちかけたのは、テックコーポレーションという会社(今年3月に倒産)(→当サイトの関連記事)です。

最初は、テック社から「水素水サーバー」を仕入れて、販売代理店として、外部に販売するというすなおなスキームでしたが、売上が伸びず、赤字だったそうです。そこで新たな方法としてテック社が提案したのが、テック社を通して外部に販売するというものでした。つまり、「テック社→丸信→テック社→外部」という商流になります。

ポイントは売上代金や仕入代金の決済に手形を使う点だったようです。テック社から手形を受け取る一方で、テック社への支払いのために手形を発行していました。丸信の利益は、(発行した?)手形額面の5%でした。手形の期日は、テック社発行の手形の方が丸信がテック社に対して発行する手形より、早かったそうです。期日どおりに入金される限り、資金繰りにはプラスとなります。

この新しい方法により、丸信の売上高は4億円あまり(2020年7月期)から、15億円超(2023年7月期)にまで急拡大したそうです。

その後、丸信は取引急拡大にリスクを感じて、取引を中止しようとしましたが、テック社から抵抗されて、ずるずると取引を継続しました。

結局、テック社は、今年3月に倒産してしまいます。売上高194億円(2023年7月期)のうち160億円が架空取引だったそうです。テック社は、丸信ら取引先が発行した手形を金融機関で資金化し、資金繰りをつけていたようです。丸信の他にも被害に遭った取引先があり(記事によれば全国で少なくとも数十社)、すでに丸信を含めて10社ほどが連鎖倒産したそうです。

(業績がパッとしない?)会社間で手形を発行し合って、銀行でそれを割り引き資金繰りをつける自転車操業がストップしてしまったという「昭和」的な倒産だったということになりますが、今後の手形廃止により、こういう架空取引や倒産はなくなるのでしょうか。

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