東芝の株主代表訴訟、投資ファンド買収で訴えの権利失う見通し…「旧経営陣の責任うやむやに」
東芝の株主が旧経営陣の経営責任を追及している株主代表訴訟が、同社の上場廃止により、消滅してしまうという記事。
「東芝の不適切会計問題を巡り、株主が旧経営陣の経営責任を追及する株主代表訴訟で、株主が訴えの権利を失う見通しとなっている。東芝が投資ファンドに買収されることが決まり、株主の立場ではなくなるからだ。」
これまでの経緯。
「東芝では、インフラ事業やパソコン部品の取引で利益の水増しなどが2015年に発覚。不適切会計による税引き前利益の修正額は約7年間で総額2248億円に上り、株価下落の原因となったほか、金融庁から課徴金を科された。
これらを受け、株主側が同年、歴代役員に損害賠償請求訴訟を起こすよう東芝に請求を求め、東芝は、元社長ら5人の責任が特に重いと判断して東京地裁に提訴し、最大32億円の賠償を請求した。株主側も16年、株主代表訴訟を同地裁に起こし、東芝が提訴を見送った元副社長ら10人に対し最大33億円を東芝へ支払うよう求めた。」
地裁判決では、株主が訴えた役員の一部も含めて、賠償責任が認められたそうです。現在、訴訟は東京高裁で続いています。
しかし、ファンドによる買収で、一般株主は、訴訟を起こした株主も含めて、スクイーズアウトされ、株主でなくなってしまいます。そうすると、代表訴訟の原告の立場が自動的になくなるようです。ただし、会社が役員に対して起こした訴訟は継続されるのでしょう。
株主代表訴訟は、会社が役員から賠償金を受け取ることができるようにする(勝訴しても株主には利益は生じない)ものですから、株主でなくなった者に裁判を続けさせる意味はないのでしょう(それまでの訴訟費用などは会社から補填してもらえるのかもしれませんが)。
新日本監査法人が東芝の株主から代表訴訟で訴えられている1兆円訴訟問題も、これで解消でしょうか。