(実務には直接の影響はなさそうな話ですが)日本公認会計士協会は、IASBの情報要請「中小企業向け国際財務報告基準の2019年における包括的な見直し」に対して提出した意見を公表しました。
IASBの質問項目は、戦略的・全般的な質問、中小企業向け IFRS 基準の各セクションの整合性に関する質問 、中小企業向け IFRS 基準に関連した新しいトピック及びその他の関連事項に関する質問に分かれています。
このうち、戦略的・全般的な質問に対しては、意見の冒頭部分で以下のように述べています。
「我々は、基本的な方針として、中小企業向けIFRS基準を完全版IFRS基準における原則及び重要な定義と整合させることを支持するが、中小企業との目的適合性と簡潔性の観点から、認識及び測定に関して実務に配慮した簡便法を認め、複雑な定義については、より平易で代替可能な定義や説明に置換えることを検討すべきと考える。
完全版IFRS基準との整合性を図る際の三つの原則(整合原則)については支持するが、基準開発に当たっては、IFRSの概念フレームワーク及びそれと整合させた中小企業向けIFRS基準の「第2章 概念及び全般的な原則」に記載の内容を、整合性を図る程度を含め、中小企業向けIFRS基準の開発の基礎(basis)であることを明確にすることが必要でないかを検討すべきと考える。 」
IASBは、中小企業版IFRSについて、整合アプローチ(従来からの考え方)と、独立した別の基準として考えるアプローチを挙げ、整合アプローチをとることの是非を聞いていますが、JICPAは、整合アプローチに賛成ということになります。
3つの原則というのは、IASBの質問によると、(a) 中小企業との目的適合性、(b) 簡潔性、(c) 忠実な表現です。(a)と(b)は、上記の意見の中でもふれています。
ただし、具体的な基準については「収益認識やリースなどの影響の大きいIFRS基準を適用後レビューの完了していない段階でどこまで組み入れるかについては、慎重な検討が必要と考える」との意見です。
日本の中小企業会計指針でも、日本基準で基準化された収益認識について、規定をどのように見直すかが問題になるのでしょう。(この意見から判断すると会計士協会は消極的?)
IASBの情報要請文書。
Comprehensive Review of the IFRS for SMEs Standard(PDFファイル)
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