東芝が減資を行って累損の一部を消すという記事。
「東芝は2000億円規模の減資を実施し、累積損失を圧縮する方針だ。2016年3月期の業績悪化で単独決算ベースの累損は4700億円超に膨らんだ。資本金の取り崩しで累損を減らし、将来の復配や資本政策を円滑に進められるよう財務基盤を整える。6月22日に予定する株主総会で、3分の2以上の賛成が必要な特別決議にかける。」
「4399億円ある資本金から約2000億円を取り崩して累損を圧縮すれば、資本欠損は解消される。減資で資本金は減るが、純資産を構成する各項目間で金額を振り替える処理のため、主に株主の持ち分である純資産の総額は変わらない。」
「財務基盤を整える」といっても、記事でいっているとおり、純資産の中の振り替えにすぎないので、純資産が強化されるわけではありません(純資産が減るわけでもありませんが)。
また、シャープもそうでしたが、このような例を見ると、「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない」という企業会計原則の規定の後半部分は廃止してしまえばよいのではと思います。例外が多すぎて原則になっていません。
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(東芝決算説明会資料より)
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営業損益も4億8100万円の赤字(同170億円の黒字)に転落した。海外POS事業の販売不振に加え、POS端末などの在庫の評価損を計上した。」
東芝不正会計、株主が歴代役員提訴 27億円賠償求める(朝日)
「一連の問題をめぐって、役員の責任を問う株主代表訴訟の提起は初めて。」
「代理人を務める「株主の権利弁護団」(大阪市)によると、室町社長について「内部統制システムの機能不全を認識しておきながら、改善措置を取らなかった」などと訴えている。また、ほかの役員も利益の水増しに関与したり、不正会計を黙認したりしていたと指摘している。」
東芝の不正会計問題で株主代表訴訟(NHK)
「東芝は、組織的に不正な会計処理を行っていた問題で、田中久雄前社長や佐々木則夫前副会長、西田厚聰元相談役の歴代の社長3人など旧経営陣5人に、課徴金の支払いなどで生じた損失について32億円の賠償を求めています。
これについて、大阪の株主の男性が、室町正志社長ら、会社が起こした裁判で対象になっていない歴代の経営陣11人に、27億円を会社に支払うよう求める株主代表訴訟を東京地方裁判所に起こしました。」