前社長自らオーナー所有のマンションを購入
積水ハウスの子会社で、役員や従業員が会社顧客との間で不透明な取引を行っているのではないかという記事。
「東証1部上場のハウスメーカー最大手・積水ハウスの子会社で不透明な不動産売買が判明した。
舞台となっているのは、静岡や長野などの中部地方で積水ハウスが建設した賃貸住宅などの管理やサブリース業を手掛ける、積水ハウス100%出資の積水ハウス不動産中部(旧・積和不動産中部)だ。
同社では、自社で管理していた物件の管理契約が解除された後、その物件を担当社員が割安で購入しているのではないかというのだ。」
訴訟になっている取引もあるそうです。
「積水ハウス不動産中部やその社員を相手どった民事訴訟も実際に起きている。静岡県沼津市に住んでいたオーナー(故人)の遺族が2018年12月、同社の沼津営業所長(当時)がオーナーのアパートを購入したことをめぐり、「営業所長にだまし取られた」として損害賠償などを求める訴えを起こしたのだ。」
弁護士のコメント。
「サブリース被害対策弁護団の三浦直樹弁護士は、「個人がどんな不動産を売買するかはもちろん自由だが、手の内を知り尽くした自社関与の物件となると、売買価格は客観的で適正なのか、売主のオーナーは売買の内容について明確な認識と判断力をもっているのかが問われる。きちんとした説明もせず、認知能力に問題のあるオーナーから物件をだまし取るようなことをすれば、当然、詐欺の不法行為になる」と指摘する。」
会社側も社内文書を出して注意喚起しているそうです。
訴訟になっている取引以外にも...
「同社社員による自社関与物件の購入は、沼津以外にも長野県飯田市内で発生している。登記簿などによると、2000年から2001年にかけて建築された同一オーナー所有のアパート2棟が、2020年1月と2月に同社の社員2人にそれぞれ売却されている。金融機関からはそれぞれ4700万円、6000万円を借り入れている。」
前社長も...
「さらに驚くべきことに、本来であれば社員の行動をただすべき立場の同社の社長(当時、前社長)自身が、オーナーから物件を買い取っていたことだ。
登記簿によると、前社長は、親族が役員を務める愛知県一宮市の有限会社を通じ、2016年8~9月に愛知県稲沢市と名古屋市内の賃貸マンション2棟を購入していた。」
「同社関係者は「前社長も自身の関係会社に自社が管理する物件を買い取らせていた。社員のコンプライアンス意識もおかしくなっている。入居やリフォームの状況など、管理会社の社員は物件に精通しており、自社管理物件を買うのは株式の売買にたとえると『インサイダー取引』のようなもの。公正さを疑われることになりかねず違和感がある」と首をかしげる。」
対顧客で、自分に有利な条件で役員・従業員が取引を行っていれば、顧客に損害を与えるという点で問題でしょうし、対会社でも、おいしい商売を会社ではなく自分や自分の親族に回していれば、背任行為でしょう。どこまでが、みとめられる役得の部分かは、判断しがたい場合もあるかもしれませんが...。
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