会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「「公認会計士制度に関する懇談会」中間報告書」に対する意見について

「「公認会計士制度に関する懇談会」中間報告書」に対する意見について

日本公認会計士協会は、金融庁の「「公認会計士制度に関する懇談会」中間報告書」に対する意見を9月2日に提出しました。

22項目の意見を出しています。そのうち協会の考え方が比較的よく出ているものをピックアップしました。全体としては、試験のレベルアップ(合格者数の絞り込み?)を目指しているようです。

・今後の詳細な制度構築の検討においては、日本公認会計士協会の関係者を交えて議論を進める等十分な意見調整が必要

・経済界においても会計士資格取得のための必要な適切な実務経験の場の提供を含めた雇用促進等の基盤を早急に整備すべき

・公認会計士試験合格者に対する経済界の具体的なニーズをあらかじめ把握する等の方策の実施も必要

・1段階目の試験は、試験科目を見直すとともに試験時間を倍増すべき。国際教育基準で求められる内容を含むべき

・公認会計士に至る前段階の専門資格(仮称「財務会計士」)や1段階目の試験合格者に付与される資格の名称に「会計士」が含まれると混乱が生じる。慎重に検討すべき

・財務会計士となるための実務経験は現行の「業務補助」および「実務従事」と同等とすべき。公認会計士となるために求められる追加の実務経験は、現行制度における「業務補助」とすべき

・1段階目試験と2段階目試験は1年内に受験できることとすべき。実務経験期間中でも、2段階目試験が受験できるようにすべき

・現行の修了考査は国家試験(もしくは国家試験として運営を日本公認会計士協会に委託)とすべき

・財務会計士の日本公認会計士協会への入会が義務付けられると、監査証明業務以外の業務を行う者が構成員に加わることになり協会の設立目的に合致しない。

・監査法人の業務範囲を海外の会計事務所と同等になるよう見直しを検討すべき

・公認会計士業務に税務業務を追加すべき

・資格取得要件に「学士の学位の修得」を追加すべき

監査法人の業務範囲や税務業務の問題は、どさくさまぎれに懸案事項を入れたという感じもします(正論だとは思いますが)。ただし、金融庁だけで決まられる事項でもないのでしばらく実現は難しいでしょう。可能性のある見直しとしては、個人会計士の場合の監査クライアントに対する税務業務の禁止規定や、監査法人の場合の監査クライアントに対する社員個人による税務業務の禁止規定の見直しがあると思います。

個人の会計士兼税理士事務所が税務クライアントから監査を頼まれたり、監査法人の社員が個人でやっている税理士事務所の税務クライアントから監査を頼まれた場合に、現行ルールでは禁止になっているので、対応できず、監査のすそ野を広げることができないという問題があります(クライアントからすれば税務と監査を別々の事務所に依頼しなければならずコストが余分にかかる)。これは公認会計士法や金商法の規定を変えれば済む話なので、金融庁のやる気次第で十分実施可能です。

国際的に、監査業務と税務業務の同時提供を全面的に禁止しているルールは存在しません。日本のルールだけが意味なく厳しくなっています。
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