PwCが弁護士業務を始めるという記事。
「企業コンサルティングのプライスウォーターハウスクーパース(PwC)は11月から日本で弁護士業務を始める。弁護士法人を設立し、企業に対し会計・税務だけでなく法務サービスも提供する。80カ国で展開するグループ内での連携を武器に、海外展開を進める企業からの獲得につなげる。」
税務・会計・監査・法務をワンストップで提供できれば、クライアントにとっては便利かもしれませんが、職業倫理上の問題はありそうです。
まず、監査法人のネットワーク・ファームとしてやるわけですから、独立性の問題があります。弁護士というのは、クライアントの利益のために仕事をするわけですが、そのクライアントが監査関与先であった場合には、監査の独立性が損なわれるおそれがあります(ただし、まったく法律業務を提供できないわけではない)。
また、ネットワーク全体のクライアント(監査クライアントを含む)は膨大な数になるわけですが、利益相反が生じないようにすることも必要です。会計監査業務であれば、クライアントが嫌がるかどうかは別として、ライバル関係にあったり訴訟で争っていたりしている企業の双方に、業務提供することに全く問題はないわけですが、法律業務ではそうはいかない場合もあるでしょう。
会計士協会の倫理規則で、独立性や利益相反に関して、詳しく規定していると思いますが、弁護士業務だけをやっている場合に比べると、業務内容はだいぶ制限される可能性があります。
もっとも、会計士・監査法人のネットワーク・ファームの業務は、法令では規制対象になっていません。会計士協会のルールによる制限だけですので、金融庁はうるさく言わないかもしれません(PwCには元金融庁長官が天下っているのでなおさらです)。協会にしっかり監視してもらう必要があります。
PwC弁護士法人を設立(PwC Japan)
「PwC弁護士法人は、企業法務・渉外法務などの法務サービスをクライアントに提供します。これによって、PwCネットワークの各法人が提供する監査、コンサルティング、税務などの業務と連携して、法務サービスをワンストップで提供します。当面、コーポレートセクレタリーサービス、組織再編、労働関係、イミグレーション、民事訴訟・税務訴訟に重点を置いてサービスを提供していく予定です。」
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