強制わいせつで服役した東京福祉大創設者が、大学長と運営母体の学校法人「茶屋四郎次郎記念学園」理事長を兼ねる総長に復職したという記事。
「中島氏は総長だった08年1月に強制わいせつ容疑で警視庁に逮捕され、総長を辞任した。同10月に懲役2年の実刑判決を受けた。
大学は08年6月、中島氏に権限が集中していた体制を見直し、学長と法人理事長を分離したうえで、中島氏の復職は認めないとする再発防止策を公表した。文科省は、中島氏を運営に関与させないよう大学側に求めてきたが、服役し出所後の10年7月から「事務総長」として雇用されたり、コンサルタント業務を請け負ったりするなどの関与が確認された。そのため、私学助成金を分配する「日本私立学校振興・共済事業団」はたびたび助成金を減額してきたが、10~18年度の交付額は計約29億円に上る。
文科省は中島氏の運営への関与を問題視し、説明を求めたところ、同法人は19年2月、「事件以降、(中島氏を)経営や教育に一切関与させておらず、今後も同様」と文書で回答した。ただ、刑法では刑期満了から無事に10年が経過すれば刑の言い渡しは効力を失う(刑の消滅)とされているため、この文書の中で、刑期満了から10年となる20年10月24日以降に中島氏を復職させる意向を示し、文科省が撤回させた。
しかし、同法人によると、中島氏は11月20日の学長候補者選考委員会で選出され、理事会の承認を経て同日付で学長と理事長を兼務する総長に就いた。トップに復職した理由について、同法人総務課は毎日新聞の取材に「本格的教育者である中島によって本学の教育理念を確実に実践し、公務員、教員採用試験等の合格者教育実績をさらに上げて社会的信用を回復していこうという中で、今回の復帰となった」などと文書で説明した。」
前の学長と理事長は都合よく自分から退任したそうです。
それにしても、ひどい学校法人があるものです。こんな法人でも外部監査人がいるはずですが、監査上、法人のガバナンスはどういう評価になるのでしょう。ただし、強制わいせつは例外としても、ワンマン(ファミリー)経営かつ私物化されている私立学校は、日本中にたくさんあるのかもしれません。
大臣の記者会見でも取り上げられたようですが、文科省としてはこれといった対抗策はないようです。
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年12月25日)(文部科学省)
「先ほどわいせつ教員の免許のお話をしましたけれど、ある意味同じテーマだと思うんですね。結局、今の日本の法制度の中では、一定の刑が終わればですね、再び社会復帰ができるという仕組みは、これらはあの、一定理解しなきゃならないと思いますが。東京福祉大学を設置する学校法人茶屋四郎次郎記念学園において、過去に強制わいせつ罪で実刑判決を受けた創立者が、先月、理事長・学長に就任したというのは、私もちょっと驚いています。文科省としては、当該学校法人に対し、罪を償った後においても創立者の復帰を認めないなどとする学校法人による改善計画を自ら作ったわけですから、その遵守を一貫して求めてきたところです。今回の創立者の復職は、学校法人の改善計画やこれまでの文部科学省への報告内容と齟齬が生じており、学校法人に対し、創立者が復職するに至った経緯について報告を求め、昨日、その回答があったところです。これまでも、創立者が理事長及び学長に就任する前に学校運営に関与していたことが明らかになった際には、私立大学等経常費補助金の減額・不交付措置を講じてきており、今年度も不交付が決まっております。いずれにしましても、今回提出された報告内容等を精査した上で、必要に応じ毅然とした対応を検討してまいりたいと思います。」
「あの、文部科学大臣として、私立学校の理事長や学長の任命権や罷免権というのは全くございませんので。ただやっぱり、法人として、過去に犯罪を犯した理事長を、今後、学校としてはどうしていくのかということは、自らがルールを作ったはずなので、学校法人として、それが世の中と約束したことと正しいのかどうかってことはもう1回確認をしてみたいなと思います。」
わいせつ罪実刑の元総長復職 東京福祉大「人格が卓越」(朝日)
「大学の担当者は取材に「卓越した人格と学識を持つ中島氏の強いリーダーシップを求める声が学内で自然発生的にあがったため」と復職の理由を説明した。復職に法的な問題はないとし、「余人をもって代えがたく、宝の持ち腐れになってしまう」とも述べた。」
東京福祉大学「独裁者讃える校歌」 元理事長出所後、驚きの待遇とは?(2019年3月)(AERA)
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