学校法人「慶応義塾」の08年度決算で、消費収支差額が269億円の赤字になったという記事。
「株式や債券など有価証券の時価と簿価の差である「含み損」は今年3月末で535億円。うち、特に著しく下落した169億円を「評価損」として損失計上した。」
「未処理となった年度末含み損は、投資信託の228億円、デリバティブの36億円など計365億円。07年度末は225億円だった。」
デリバティブが少し気になるものの、今のところ、極端にリスクの高い商品に投資していたという報道はありません。
2008年度(平成20年度)事業報告書
学校法人にしては立派なディスクロージャー誌です。有価証券投資による損失についても少し説明しています。
「平成20年度の消費収支予算は、41.5億円の支出超過を見込んでいましたが、決算処理を行った結果、支出超過額が227.5億円増加し、消費支出超過額が269億円になりました。この原因は、昨今の経済環境の影響を受け、義塾が保有する有価証券の時価が下落したことによるものです。有価証券の時価評価の下落の中でとりわけ、その評価が著しく下落したものを、消費収支計算書の資産処分差額のなかに、169.6億円計上しました。
また、当初予定していました資産運用収入も、このような金融情勢の中、25.4億円減収となりました。昨年に続いて、評価損という形で支出を計上せざるを得ませんでしたが、義塾本来の教育・研究・医療などへの影響は出ておりません。
金融情勢は徐々にではありますが、回復の兆しをみせており、含み損として残っております365.6億円も金融情勢の回復とともに解消していくものと考えています。義塾では、有価証券による資産運用には、リスクが伴うものであることを十分に認識しており、資産運用規程・運用体制の整備のもとに慎重にポートフォリオを構築し、分散投資の徹底など、リスク管理に努めてきましたが、今回の急激な金融情勢の変動に対処することができませんでした。」
学校法人会計には時価会計は導入されてないので、含み損は貸借対照表上も含み損(資産計上金額に反映されていない損失)です。
私大、運用で評価損 慶応535億円・上智110億円・早稲田28億円
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