証券取引等監視委員会が、ライブドア前社長ら5容疑者と法人としてのライブドアを有価証券報告書の虚偽記載容疑(つまり粉飾)で東京地検特捜部に告発したという記事。
告発の容疑は、(1)04年3月に公表した2社買収の際に、株式交換名目で発行するなどした自社株を同社が実質支配する投資事業組合を通じて売却し、本来は資本計上される売却益約37億円を売上高に不正計上したことと、(2)子会社化予定だった2社の預金など約16億円を単体や連結の売上に不正に計上したこと、という2点に絞られるようです。
ここで何度も書いていますが、ライブドアは非常に不思議な粉飾事件です。(売上と売上原価を両膨らみで水増ししたIT企業の例を除き)普通は、不良・架空資産や簿外の債務があるというバランスシートの粉飾ですが、ライブドアの場合はちがいます。
(1)は自己株の売却という資本直入取引を損益計算書の利益とした後で自己資産に加算したというものですので、バランスシート自体は、資本の部の中の区分以外、修正はありません。(2)は子会社化予定会社からの入金は返済不要なものだったわけですから、負債がもれていたわけではありません。子会社化した時点では、振り替えられた預金額だけ子会社の純資産は目減りしていたことになりますが、持分プーリング法を使っている限り、目減りした純資産をそのまま連結するので、目減りしたという事実は連結バランスシートに正しく反映されており、修正不要です(パーチェス法であればのれんの金額が水増しされたことになりますが・・・)。
(ほかの粉飾手口がないと仮定すると)ほとんど損益計算書のみをごまかしたというまれな例であるといえます。
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