日本と韓国の企業は現預金をため込みすぎているという論説記事。英エコノミスト誌からの転載記事です。
「企業貯蓄は近年、先進国全体で増大している。企業経営者が、金融の混乱に備え、自衛の必要性をこれまで以上に感じているからだ。また、高齢化が進む経済の中で投資機会も減少している。
それにしても、東アジアは極端だ。日本企業は全体で229兆円の現金・預金を抱えている。これは国内総生産(GDP)のなんと44%に相当する。韓国企業が貯めている現金・預金は459兆ウォン(約48兆円)。こちらはGDPの34%だ。」
「慎重な経営者が下す合理的な判断が、常に従業員や投資家のためになるとは限らない。韓国では10年以上前から企業の収益の成長率が賃金上昇率を上回っている。一方、日本の賃金は1990年から2012年までの間に3.5%減少。この間に物価は5.5%上昇した。
株主も正当な扱いを受けていないと感じているはずだ。日本企業の配当性向は、主要先進7カ国(G7)中で最も低い。韓国総合株価指数を構成する銘柄の配当利回りはわずか1.2%で、経済大国の中で最低だ。
東アジア経済も不利益を被っている。日本の消費者は、もっと賃金が高ければ、もっと支出を増やしていただろう。韓国の家計は、急速に拡大する債務負担に苦しみ、やはり圧迫されている。」
「日本と韓国の企業経営者に言うべきことは単純だ。「手元資金の使い道が分からないのなら、株主に返しなさい。それはもともと彼らのカネなのだから」。」
会計士の立場では、企業の手元資金が潤沢な方が安心なのですが・・・。
それにしても、こういう状況で、消費税をさらに上げて、法人税を下げるという政策が有効なのか、ちょっと心配になります。消費税が上がればすぐに消費に影響が出る一方で、法人税を下げても企業は利益の増加分(資金的には減税で資金流出が減る分)をため込むだけとなりそうです。
こちらは反アベノミクス的な週刊誌の記事。
恐るべし、消費税8%の呪い 大本営発表にダマされるな!日本経済、すでにメタメタです(現代ビジネス)
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