飼っていた犬が死んだ。見たら悲しくなるから、会わないでお別れしようと思ったけど、やっぱりそんなことはできなかった。後悔したくなかったから。寝ているかのような犬の頭や鼻を撫でた。当たり前だけど、動かない。犬が入っている箱の中が私の涙で濡れた。おとぎ話のお姫さまだったら、涙が触れたら生き返りそうなのになんてバカなことを思った。箱の中に髪の毛を1本抜いて入れた。1人で逝かせたくなかったから。せめて髪の毛だけでもと。
思い出した。犬が我が家へやってくる前後のことを。お店に犬を見にいって、1週間か2週間したら飼えるということで(何でだったかな。子犬が入荷されるのが、そのときだったのか、まだ売れないほど子犬だったのかだと思う)ダンボールの中にビニールボールを入れた。それを犬と思い毎日抱きしめた。1週間経った。学校から帰ってきたら両親はいなかった。犬を連れて両親が帰ってきた。2週間待っていたら、他の犬を飼っていたかもしれない。あの犬に出会えてよかった。
日中は外にいたけど、夜は家に入れていた。いつも、夜中になると、お水をペロペロと飲む音 餌をパリパリと食べる音がした。ケージの中で寝づらいのかクルクル回る音とか。もうあの音を聞くことができない。もっと一緒にいたかった。
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