カランコロンと君の歩く下駄の音
振り返ると昔のままの君が居た
嬉しそうに僕の後をついてくる
とても懐かしい思い出の中の君
蚊取り線香の匂い
どこかで鳴ってる風鈴の音
僕は君に言う やあ久しぶりと
君は笑って答える 僕はここに居るよと
ああ、なんて懐かしい夏の思い出
パシャパシャと川を跳ねる小魚の音
楽しそうにはしゃぐ君が居た
川を流れる草船のように
いつ沈むのか解らない旅路
現代社会のルール
抗う術のない今の僕ら
僕は君に問う まだ大丈夫?と
君は笑って答える 僕の心は変わらない
ああ、君は本当に強い人だ
キラキラと空に輝く花火の音
二人で見た最後の花火
いつの間にか消え去っていた
僕は僕に嘘をついて
君を深く傷つけた 僕の後悔
今一度君に訊きたい 僕は間違っていた?
きっと君は笑って 僕は平気だよと答える
僕は君を失って 僕の心は壊れた
ああ、もう一度君に逢いたい
僕らの空に花が咲く
あの日 確かに僕らはここに居た
真夏の夜空に咲く花を
みんなでそれを眺めていた
祭り囃子の音 香ばしい匂い
綿あめの甘い匂いに心が躍った
でもあの夏は帰らないと感じていた
学生だからこそ僕らは楽しめた
あの頃 それぞれの進む道を信じて
たゆまなくそれを全うした
大人の世界に身を投じて
初めて知った苦い思い
僕らはもう子供では居られない
あの日 誓った僕らの友情は
真夏の あの夜空に舞い散った
毎年減っていく顔ぶれ
夢が崩れる音 悲しい思い
せめて君だけは夢を捨てないで
僕が君を 支えていくから
出逢い そして別れの時を
誰もが予感していただろう
それでも僕は信じたかった
あの日 確かに僕らはそこに居た
夢と希望に満ちていた
ありふれた現実を打ち砕こうと
神様どうか僕らの未来を
いつか 君に話そうとしていた
僕の想いを今打ち明けよう
情けなくて恥ずかしくて
笑い話で良い 僕はピエロで良い
誰よりも君を 愛していた
それが 僕の真実だから
あの日 夜空に咲く花を見ていた
一人も欠ける事無く居られると
信じて疑わなかった 君はまだ
僕の傍に居てくれるかな
今年も僕らの空に 花が咲く
掌
僕の掌は他人より少しだけ大きい
けれどこの手に掴めるものは
決して多くは無いと知っている
それでも大切なものを一つだけ
たった一つだけ守りたいと思った
確かにそこにあった大切なものは
いつの間にか僕の掌の中から
霧のように消えてしまっていた
君の掌は大きくてとても暖かい
その手をしっかり掴んでいれば
きっと幸せになれると信じていた
それなのにいつの間にか僕は
君の手を放してしまっていた
二人だけの大切な時間は
あたかも幻のように消えた
僕が君を傷つけたあの日から
君の掌は優しくてとても暖かい
僕の掌はとても冷たくて
二人で手を繋いでいると丁度いい
そんな風に笑っていた君の
笑顔がすごく嬉しくて
毎日会えるのが楽しみで
もう一度君に逢いたい
君が僕を許してくれるなら
僕は自分の掌をじっと見つめた
何がいけなかったのだろう
どうして僕は嫌われたのだろう
どんなに考えても分からなくて
今はただ逢いたくて
あの日別れた場所にいた
どんよりとした空から
冷たい雨が降り出した
僕の掌は他人より少しだけ小さい
だから多くのものは掴めない
けれど傘を持つことは出来る
雨が降る中立ち尽くす君を
冷たい雨から守る位なら出来る
顔を上げた君の涙を拭う事も
僕より大きくて泣き虫の君を
抱きしめてごめんねと言った