酔いどれ烏の夢物語

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酔いどれ烏の夢物語 後悔

2023-06-05 05:03:08 | ポエム

     

    後悔

ある日の早朝 僕は目覚めた

とてもとても嫌な夢を見た

あの人が暗闇の向こうへと

どんどん歩いて行く

僕はそれを引き留めようとする

けれどどうしてか声が出ない

あの人は一度だけ立ち止まり

振り返って僕を見て笑った

その笑顔はとても寂しそうだった

 

目覚めた僕は シャワーを浴びた

あの嫌な夢を払拭するように

彼のその寂しそうな笑顔が

頭から離れない

あの人はいつも感情を見せない

辛い時も哀しい時も一人で

周りに心配かけない様に

それを見るのは僕には辛かった

僕が頼りになれる人間だったなら

 

あの夢の様に 彼は姿を消した

誰にも言わずたった一人で

何が彼をそうさせたのか

何を背負っていたのか

せめて僕にだけは話して欲しかった

二人で過ごした時間は少ない

それでも僕を信じて欲しかった

今はただ彼が幸せであります様に

僕には祈る事しか出来ないのだ

 

 

 


酔いどれ烏の夢物語 たった一人の

2023-06-01 18:19:40 | ポエム

   

   たった一人の

それはまるで目に見えない糸で

手繰り寄せられたような瞬間で

僕と君がこの広い世界で出逢った

例えば空に雲があるように

例えば海に波が立つように

ごく自然な出逢いだった

 

躊躇する僕の背を押すかのように

彼は僕の顔を見て微笑んだ

君がこの広い世界でたった一人の

乾いた大地に降る雨のような

暑い日差しを遮る木陰のような

孤独を取り除いてくれる人

 

まるで一人で踊るワルツのように

クルクルと目まぐるしく

繰り返す出逢いと悲しい別れ

そんな僕に春を告げる花のように

そよそよと頬を撫でるそよ風のように

僕に未来を与えてくれた人

 

 

 


酔いどれ烏の夢物語 紫陽花の咲く頃に

2023-06-01 17:22:02 | ポエム

 

     

   紫陽花の咲く頃に

紫陽花の咲く頃には戻って来るよ

彼はそう言って何時もの様に旅に出た

彼はカメラマン 風景を撮っている

彼の写真はまるで絵葉書のようだ

バイト代を貯めては旅に出る

 

僕らの暮らす小さなマンションの

中庭に紫陽花の木が沢山並んでいる

僕は大学があるので一緒には行けない

卒業したら彼と一緒に世界を回りたい

きっと楽しい旅になるだろう

 

もうすぐ紫陽花の花が咲く

そうすれば彼は帰ってくるはず

彼の笑顔と 土産話が楽しみだ

鬱陶しい梅雨入りも楽しく過ごせる

早く彼にお帰りと言いたい


酔いどれ烏の夢物語 シャボン玉

2023-05-30 22:54:17 | ポエム

   

  シャボン玉

君はまるでシャボン玉

ふわふわと空に舞い

陽光を受けて七色に輝く

悪戯な風に連れて行かれぬ様に

僕の両手でそっと守ろう

 

君はまるでシャボン玉

色んな形に姿を変える

青空の下自由に漂う

太陽が嫉妬して壊さぬ様に

僕が君をこの手で守ろう

 

君はまるでシャボン玉

ふわふわと空を漂い

掴もうとすると

パチンと弾けて僕を驚かす

だからそっとこの手で守ろう

 


酔いどれ烏の夢物語 夏祭り

2023-05-27 00:03:40 | ポエム

 

    

     夏祭り

もうすぐ夏祭りがやって来る

今年は二人で行きたいね

去年は君が熱をだして行けなかった

悔しがる君のために君の好きな

焼きトウモロコシを買いに行った

独りで歩く祭りの屋台は

なんだかとても寂しかった

だから今年は二人で歩きたい

 

もうすぐ夏祭りがやって来る

揃いの浴衣を着て行こう

仁平姿も君には似合いそうだ

一日目は露店を巡り遊んで食べて

きっと君はへたくそな射的をする

釣れそうで釣れない金魚

何処からか聞こえる祭り囃子

今年こそ君と歩きたい

 

もうすぐ夏祭りがやって来る

涼しげな風鈴の音も

季節が巡って街並みが変わっても

やはりこの風景は変わらない

三日目の祭りの夜は花火大会

人込みではぐれない様

君としっかりと手を繋ごう

誰かに連れて行かれない様に

 

もうすぐ夏祭りがやって来る

いつまで君と来られるのかな

焼きそばも焼き立てのタコ焼きも

ペロッと平らげてしまう

見上げる花火の音に紛れて

君が好きだと囁いた

聞こえる筈はないのに

君は僕の手をぎゅっと握った