競技かるたが「競技」として確立しおよそ110年が経ちます。
競技かるたに使用されるのは、小倉百人一首であり、日本の伝統文化を色濃く映しています。
相手と競い、勝敗を決するために、ついつい熱くなりがちですが
是非とも礼儀作法を重んじてほしいと思います。
<暗記時間>
必要以上に手を振り回す、競技開始2分前になる前に競技線から手を出す、これらに類する行為はやめましょう
足は崩しても構いませんが、あぐらや体育すわりはやめましょう。
(ケガをしている場合など、理由がある場合をのぞきます)
あぐらは賛否あるようですが、富士かるた会としては控えるように指導しています。
競技開始2分前となった後に、たくさん札を動かしたりする行為も相手に失礼です。
暗記時間中に席を外す際は相手に「失礼します」と言い、戻ってきた際には「失礼しました」の挨拶をしましょう。
(相手が席を外していて不在の際には、「失礼します」「失礼しました」の挨拶は不要であると審判講習会で教わりましたが、私は癖で相手がいなくても挨拶をしてしまいます。)
<挨拶>
競技開始の際は、「相手⇒詠み手」の順にきっちりとあいさつをしましょう。
詠み手に背を向けて座っている場合には、体の向きを変えて挨拶をしましょう。
「おねがいします」もしくは「よろしくお願いします」としっかりいいましょう。
「おなしゃす」「あーっす」みたいなのは挨拶とは言いません。
競技終了の際には、同様に「相手⇒詠み手」の順に挨拶をします。
運命戦で審判が付いてくれた時には、審判にきちんと挨拶をしましょう。
審判が付いた状態で試合が終了した場合、「相手⇒審判⇒詠み手」の順番に忘れず挨拶をしましょう。
負けて悔しくても、挨拶を疎かにしては行けません。
余談ですが、1-1で相手陣の札を取って(取ったと思って)勝った場合には、札をきちんと送ってから挨拶しましょう。
札を送って、自陣を0枚にして、初めて勝ちとなります。
明らかに相手より早く相手陣を取った場合でも、しっかりと札を送りましょう。
お互い自分が勝ったと思っていて、あとからトラブルになったなんて言う事例もあったそうです。
<手上げ>
札を送る際、札を整理する際、手を挙げて詠み手に「待っていてください」の合図をします。
これがしっかりとできていない選手を、けっこう上の級でも見かけます。
手上げは詠み手に対する合図です。詠み手に見えなければ意味がありません。
しっかりと手を挙げていないにも関わらず、詠みが始まり、手をたたいて詠み手を止める光景をよくみます。
いかなる理由があれ、詠みが始まったら詠みを止めてはいけません。
手を挙げているのに詠まれてしまったら、「手上げが不十分だったんだ」と反省しましょう。
また、相手が並べている際には手を挙げておいてあげましょう。
<札の整理>
札の整理は座ってしっかりと、素早くやりましょう。
立膝のまま整理したりする人がいますが、座って並べましょう。
自分が払った札は自分で取りに行きましょう。
また、札がなくなった時も自分で立って、「(札裏)○○の、(無くなった札)○○の札、ありませんか」と大きな声で探しましょう。
時々、座ったまま大きな声で叫んでいる人がいますが、自ら立って探しに行きましょう。
払った札を取りに行くとき等に、他の試合の競技線内に立ち入ったり、またいだりすることにも気を付けましょう。
そして、詠みが始まったら、素振りはやめましょう。
うっかり払ってしまって詠みを止めるなど、もってのほかです。
礼儀作法をしっかりとし、自分や相手、見ている者が気持ちいい取りを目指してもらえたらと思います。
富士市内の公立学校も夏休み延長の措置が採られました。
かるた練習会の再開はいつになるのでしょうか、、
さて、本日は
「競技かるたと筋力について」
Q 払いを早くするために筋トレをする必要はあるか?
A
腕立て伏せのような、腕の筋肉に特化した鍛え方は不要と考えます。
不必要に筋肉をつけると初動が遅くなりかえってマイナスです。
コンマ数秒の反応を競う競技かるたにあっては動き出しが遅くなることは致命的です。
札は腕力だけで払うものではありません。
野球でも筋肉ムキムキの投手が速い球を投げるわけではなく、
しなやかな腕の振りをする投手の方が速い球を投げているイメージです。
肩から先、肘から先、手首をしならせるように使った方が払いも速いです。
速く払いたければ「剛」より「柔」を意識した方が良いと思います。
とはいえ、あまり筋力が無いのは困るので、平均値(スポーツテストの10段階評価で5程度)は目指しましょう。
そして、払いを速くするために鍛えるのであれば、むしろ、体重移動に重要となる下半身、体の軸を安定させるための背筋を主に鍛えた方が良いと思います。
手を使って払うので、どうしても上半身に意識が行きがちですが、下半身こそ大切にしましょう。
しっかりとした体重移動が速い払いを生み出します。
<追伸>
決して筋肉系かるたーの否定をしているわけではありません
管理人は、筋力がある側の人間です。
力があることのメリットも当然あり、当たり負けしない、ケガをしづらい、等が代表です。
私自身、かるたを15年以上やってきて一度も突き指をしたことがありません。
相手がグーで来てもたぶん大丈夫です。
ケガをしないことはとても重要な事です。
頑張って練習をしてきたのに、大会直前にケガをして棒に振るなんてことはよくあります。
力があるからこそ、ケガをしないこと、させないことには人一倍気を遣って試合を取っています。
皆さんも試合中はもちろん、私生活においてもケガには気をつけましょう。
前回に引き続き。
競技かるたは文化部としては珍しくかなり身体をつかいます。
運動神経の話の前に、前段として
「競技かるたはスポーツか」という問いについては「スポーツと呼んで構わない」と答えます。
「文化部か運動部か」と問われたら、「文化部の域は超えない」と答えます。
専門的な定義付け等は調べていないので、あくまで直感的な意見ではありますが。
中学まで運動部であった私は
実戦以外の練習に費やす時間の少なさに違和感を覚えました。
いわば、野球部やサッカー部が毎日練習試合をしているようなものです。
基礎練といえば払い練習くらいなもので、筋力トレーニング、走り込み、etc..運動部がやっているような活動はありません。
(全国的にどうか分かりませんが、私の知っている範囲では。)
体力がいる、といってもそこまで身体を酷使するわけでもなく、吐くような辛い練習があるわけでもなく、運動部的な要素は少ないと感じます。
将棋部は運動部か、吹奏楽部は運動部か、そうした議論と横並びかと思います。
それぞれ当事者にしかわからない辛さはあれど、文化部であることにかわりはないように感じます。
ただ、別段、スポーツか否か、運動部か文化部か、そこに変に拘る必要もないのではと思います。
競技かるたが魅力的で楽しいものであることに変わりはないので。
前置きが長くなりました。
競技かるたをやる上での運動神経。
運動神経と競技かるたの強さの関係性について、正直なところ「わからない」です。
母校かるた部を例に挙げると、A級になった選手のほとんどが元運動部でした
ただ、元文化部も一定数はおり
元運動部とはいえ、運動神経はさほど良くない者もいました
運動神経が良ければかるたは強くなるかと言われるとそうでもなく
スポーツテストで3年連続して80点満点なのにかるたはたいして強くない子もいたり
逆にスポーツ全くできず、体育の成績1だったけどA級になった子もいたり
払いのコツを掴む早さなんかは、やっぱり運動部上がりの方が早いのだけれど
感性的な部分で文化部の方が強かったり
本当にいろいろで「強くなる条件」をなかなか見いだせません。
運動神経はよいに越した事はないけれど
運動神経が悪くても強くなれる
といったところでしょうか。
以前、元名人とお話しすることがあり、
かるたで一番大事な要素は何か
耳の良さでしょうか
払いの速さでしょうか
頭の良さでしょうか
といった質問をしたところ
負けず嫌いであること
と回答がありました。
負けず嫌いであれば、勝つためにいろいろと研究をする、工夫をこらす、努力をする
とのことでした。
この辺に色々と集約されている気がします。
普段は日程更新のみのブログですが、ステイホーム&夏休みにつき、記事を書きます。
※いろいろな選手を見てきた上での個人的な見解です。
競技かるたをやる上で、身長は高い方が有利か低い方が有利か。
結論から言うと
160〜170センチくらいがベストではないかと思います。
スポーツは全般的に背が高い方が有利な傾向にありますが、競技かるたにおいてはそこまで身長は必要ありません
身長が高く、リーチが長いと敵陣まで楽に届いて良いなと思うかもしれませんが、その分、自陣を取る際に詰まります。
また、手を伸ばすだけで届く分、体重移動が疎かになる傾向にあります。
身長が低く、リーチが短いと咄嗟に敵陣に手が届かなかったり、敵陣取る際により体力を消耗します
反面、小回りが効き、体重移動を普段からしっかりしてるため、身体の使い方が上手い選手が多いように感じます。
一長一短でどちらが強いとも言い切れません。
私の同級生にA級で188センチの選手がいましたが、87センチという競技線は彼にとって窮屈そうにも見えました。
高校時代の我がかるた部エースは148センチしかありませんでしたが、非常に身体の使い方がうまく、彼女には毎回ボコボコにされた記憶しかありません。
冒頭の「160〜170センチ」については、歴代の名人やクイーン、そして私の尊敬する超A級選手にそのくらいの選手が多いためです。
身長問わず、強い選手に共通して言えることは、
身体の使い方が上手い
自分に合った身体の使い方を知っている
だと思います。
小さい頃に競技かるたを始めた皆さん、きちんと体重移動して身体の使い方を覚えましよう
成長とともにいろいろな身体の使い方を覚え、身体が出来上がる頃にはベストな答えが出ていることでしょう
既に体が出来上がってからかるたを始めたみなさん、身長の高さに驕らず、身長の低さに悲観せず
しっかり身体を使いましょう。
手だけで取るのはあまり良くありません。
次回は、競技かるたと運動神経について書こうかと思います。