前回、京都美術館までをお伴頂きましたね。今回はいよいよフェルメール展の鑑賞です。
京都市美術館にて開催中の『フェルメールからのラブレター展』です。
現存する本物の作品は世界で三十数点といわれているフェルメールの絵画が三点も同時に日本にやって来るなんてめったのないことでしょう。
この三点です。 ↓
今回、出展はフェルメールの全作品の約6分1を占める「手紙」をモチーフにした作品6点のうち半分3点が一堂に会しています。ボクはこの3共に初対面です!。
会場の京都市美術館は前回紹介したように歴史を感じさせるには充分な建物内外の雰囲気です。美術館の道路沿いに設置された展覧会案内看板にもその息吹が強く感じられます。
さて、前庭を横切ってチケット売り場に向かうと・・・「只今の待ち時間、約30分」との看板があり、大勢の方々が行列を・・・
仕方がないか・・・、週末なら1時間半から2時間の待ちなんだから、と自分で自分を慰めながら行列の最後尾に並びます。9月末日に近いお天気のいい日でした。じっと並んで待つのが暑かったです。
誘導係のお兄さんが人数を数えながら、「次はここまでです」。やっと入れると思いきや、チケット売り場への誘導です。
入館料1500円也を支払い、やっと入館券を手に、作品3点で1500円、、1点500円か・・・なんかつぶやきながら館内に入ります。なんと、この前来た時と様子が違います。館内ではまたまた行列が・・・
展示室入口まで、くねくねと曲がった三列の行列・・・。展示室内の入室者数を制限して混雑をさけているのでしょう。ここで再び約15分の待ち時間でようやく展示室へ。
今回は、上記写真のフェルメール三作品のみをゆっくり見ようと決めていました。係の人に作品展示室を訊くと、ここから5室目、最終展示室とのこと。四つの展示室を左右きょろきょろしながら、フェルメールが描いた三人の女性と会いに行きました。そろそろ真面目にフェルメールの絵画について今回学んだことなど、書かせていただきます。
フェルメール(Johannes Vermeer,1632―75)は17世紀オランダ絵画を代表する画家です。彼は身辺を描いた画家と言われています。人々の暮らし、日常生活と人生の一場面が主題とされています。彼はさまざまな窓辺や壁を描き、生活空間を明るみに描きだした画家です。人物を描くときは、手もとや身辺に注目し、また、視線を描いています。このように日常描写を美しく描きとることを得意とした彼の作品の中で、とりわけ重要なモチーフとなっている「手紙」作品があります。今回はこの手紙作品から三点を鑑賞できました。その前に今一つ、「フェルメール・ブルー」とも言われ、当時としても大変貴重なラビスラズリを砕いた顔料ウルトラマリンの彩りも大きな見どころでしょう。
では、先ず最初はアムステルズ国立美術館蔵の『手紙を読む青衣の女』です。
背景にかけられた地図は、オランダのホラント州の地図だそうです。当時、地図は絵画と同じように、市民の住宅の壁を飾っていました。こうした地図は外界の大きな世界の広がりを見るものに暗示しているそうです。手紙を読むというテーマは17世紀にはしばしば描かれ、世俗的な愛のテーマと結び付くことが多かったようです。オランダでは通信網の整備と共に、手紙という通信手段が広く市民に復旧しました。手紙の普及は、今日のネット社会の発展にも匹敵する革命的な出来事だったようです。こうした時代の傾向にフェルメールも敏感に反応したのでしょう。手紙を持つ彼女の指先の表情、そして真剣そうな眼差し、この手紙の相手はきっとどこか遠方の・・・。想像の世界はこの作品を前にしてどんどんと広がって行く・・。絵画を見る楽しみの一つですね。
次に、ワシントン、ナショナル・ギャラリー蔵の『手紙を書く女』です。
この作品も背景の壁には絵がかけられています。絵柄はこの写真では見にくいですが、現物をよくみると、楽器のようなものがかすかに判別できます。絵画の世界で楽器は、愛を奏でるものを意味するそうです。少し微笑んだ感じの口元などからも書いている手紙はおそらく恋人へのラブレターではないでしょうか。上着の光沢のあるサテンとトリミングの毛皮の柔らかさが対照的です。髪飾りや真珠、椅子の鋲などに反射する光の描写が大変魅力的ですね。
そして三作目は、アイルランド国立美術館蔵の『手紙を書く女と召使い』です。
手紙を書く女性のテーブルの手前の床には、しわになった手紙が落ちています。手紙は受け取ったものでしょう。落ちた手紙を拾い上げようともせず、一心に返信をしたためる女主人。背景の壁に掛っている≪モーセの発見≫と関連させると、その返信の内容がおぼろげに浮かび上がってくるようです。旧約聖書「出エジプト記」に典拠をもつ≪モーセの発見≫の物語は、17世紀にあって、神の叡智の証拠であり、かつ対立する諸要素を和解させる神の力を示すものと見なされていたそうです。とすれば、作中の彼女の返信は、なんらかの原因で生じた溝を埋めるための和解の手紙かも・・・、と、またまた想像の物語は膨らんでいきます。今回三点の中ではこの作品がボクには一番のお気に入りでした。
これら三点の作品をじっと眺めていると、実にいろんなことが見られます。ボクが一番に気付いた点は、フェルメールという作家の作中の「布」の描写の素晴しさです。人物の着衣は勿論のこと、テーブルクロス、カーテン、椅子に貼られた布・・・これらの色や柄、そして布がもつ柔らかなふっくら感が実に見事です。
ごくありふれた情景の作品ながら、画面の中の静かな光に支配された不思議な世界へと誘われていくようです。計算されつくした構図は、なんでもない日常生活のちょっとした出来事の中にも素晴しい光のドラマが隠されていることを語りかけてくれているような感じを抱きながら、この三作品の前を立ち去りました。
本展は、京都展開催の後、
10/27~12/12 宮城展:宮城県美術館。
12/23~3/14 東京展:Bunkamuraザ・ミュージアム(渋谷)
にて開催されます。お近くの方、どうぞお出かけ下さいませ。
今回の記念に購入したフェルメールのマグカップです。
これで、以前に購入したあの有名な『真珠の耳飾りの少女』の複製画を見ながらお茶を頂くことにします♪
光の画家、フェルメールの世界を後に、知恩院まで歩きました。京都のらしい町並みは素敵ですね。
徒歩、約10分で知恩院到着。父母のお墓参りに本堂(御影堂)を参拝して帰途につきました。
素敵な絵画展とお墓参り、なんだか異次元の世界を旅したような今回の京都の旅でした。最後までご覧いただきありがとうございます。
手に取るように見えていますね。
また、パピーさんの解説が非常に分かりやすく、私までもがフェルメール展に
行ったような充実感を味わいました。
今まであまり行かなかった美術館、出来るだけ行ってみたいと思うこの頃です。
ありがとうございました。
したがって新しく登場した「手紙」が大きな関心の的になりえたのでしょうね。
時代背景を読む事も愉しいですね。
どんな絵画作品でも、その画面には作者の描いた物語が込められています。それを読み解く愉しさを感じるように作品に向かって頂ければ美術館通いもより楽しくなると思いますよ。
コメントありがとう
いいですね。
光を感じることができる絵ですね。
実物を見たいです。
でも、パピーさんのブログで、ムードを、感じることができました。
ありがとうございます。
画面の中の明暗バランスの素晴しさ!
実物は、先ず「美しい」のひと言ですね。
それから物語が語りかけて来ます。
ままさんには、是非、見て頂きたいな~
ままさんの絵も最近は物語が描かれて
来ましたね、素敵です。
コメントありがとう。
見ていて「綺麗!」を連発しています^^
それぞれが手紙と言う共通の画題にして
その1つ1つの想いが伝わってくる様な…
本当に素敵な絵です♪
見せて戴いて ありがとぅですm--m
なんか、とってもロマンチックな感じ~
「ラブレター」だなんて・・・
芸術の秋、満喫したんですねぇ~
いつも思うけど、パピーさんのお部屋も
すっごく素敵でお洒落ですよねぇ~
カップも素敵♪
はぁ、私も小さな旅・・実現できたらいいなぁ~
四国まで行って、幸せの鐘を鳴らすのが夢です♪
九州新幹線は、残念だけどぉ~(^^ゞ
ありがとう(^^)
本物 みたいなぁ~。
やっぱし、外はもちろん並んでいましたが
中もこんなに込んでいたんですネ。
フェルメール、こうして見させて頂きましたが
いいですネ。この時代にここまでよく描けるもんだと感心します。
マグカップに絵、素敵な雰囲気の中で頂くコーヒー?紅茶?日本茶?おいしいいでしょう~ね。
今日は八坂神社あたりまで行ってましたよ~。
このブログの絵は看板の写真ですから・・・
実物はこの社員の何百倍(?)も綺麗です。
先ずは、その美しさにうっとりですね。
薄暗い展示室内でほのかなスポットライト
という展示方法も手伝っているとは思いますが
1500円の入館料は充分に価値ありました。
コメントありがとう
ラブレターなんて・・・忘れちゃったネ。
二番目の作品、彼女は完璧にラブレター
書いてるんでしょうね。
彼女の顔が語っているよね♪
マグカップいいでしょう。ボクは美術館に
行ったら記念に買う事にしてます。名画の
マグカップがいっぱいになりました。
例の鐘、鳴らしに行きたいですね。
しぃちゃんもきっと行けるようになると
思います。頑張ろうね。
コメントありがとう