カタスミ

『我が家の問題』奥田英朗著

以前読んだ『家日和』のシリーズもの。
短編なのでこの本から読んでもさして問題ないが
最後の話だけ前回の登場人物が引き続き登場しております。
以下ネタバレあり。

















このシリーズすごく好き。
なんか読んだ後に心がほっこりするのよね。
この人の短編ほんと面白いなぁ…!
家族という身近なテーマなのでとても入りやすい。
そして読みやすい。
夫婦の話が多いが、お互いが思いやってるのがすごくいい。
やっぱ結婚生活の維持って思いやりと妥協が大切なんだろうなぁ。
何事においてもだけど、やってもらって当たり前、という気持ちでいると
いずれはどこかで破たんするんだと思うわ。

■甘い生活
新婚夫婦の夫が、尽くす妻に息苦しさを感じて
家に帰りたくないという悩みを抱えている。
結構なプランを頭に描いている奥さんのようなので
確かにしんどい部分は分からんでもない。
お互い歩み寄る姿勢があるので、まだまだ改善の余地あり。
こういうの見ると、価値観が違う結婚は大変だなぁって思うわ。

■ハズバンド
どうやら仕事ができない夫の為に
なんとか頑張ってもらおうと妻がいろいろ考える話。
あんまり印象に残っていない話でしたが
お弁当作りに精を出す奥さんの姿はとてもよかった。
日々の当たり前の行為に喜びを見出していく登場人物が
見ている方も楽しくなってくる。

■絵里のエイプリル
親がどうやら離婚寸前のようだ、という事に気づいた
女子高生のお話。
子供たちはいろいろ考えて
どうなっても受け入れる体制が出来ている模様。
以外に冷静だったのだけど、ま、離婚の原因にもよるわな。
この短編集の中では一番重い話かな?

■夫とUFO
とても好きなお話。
突然夫がまじめな顔をして『UFOが見守っている』とか言い出して
困惑する妻の話。
本来夫より子供、って奥さんが多いのに
この話の奥さんは子供より今は夫!って姿勢で
ちゃんと夫を思いやれる奥さんにちょっと感動してしまったw
(決して子供をないがしろにしてる訳ではないし)
夫の大変さが分かって、自分の事のように心を痛めている奥さんに
ああ、いい夫婦だな~、と癒されました。
で、結局ご主人様のUFO見た発言は
妄想なのか現実なのかどっちだったのでしょうかね?w

■里帰り
新婚夫婦の里帰りの話。
お互いの実家が北海道と名古屋で、休みをフルに使って
どちらの実家にも顔を出す事に。
夫の実家は来て当たり前、妻の実家?そんなの知らね。
って人多そうなんだけど、この夫婦はちゃんと話し合いをして
お互いへの気遣いを忘れていないのがとても良いです。
そしてどっちかっていうと自分の実家より
相手の実家が好きになるって言う感じで。
里帰りのおっくうさより、その良さを見つめているのが良いですね。
ただやっぱり、GWやお盆に民族大移動のように
混雑した中移動するのは大変だと思うわ。

■妻とマラソン
前作の『家日和』より、ロハスにはまった奥さんのお家のその後です。
夫が有名作家になったが為に、奥さんがだんだん孤立してしまって
その様子を心配する夫の話。
唯一奥さんが頑張っているマラソンを
家族みんなで応援していく様子がとても良かった。
最後はちょっとうるっと来たわ。
一生懸命頑張る姿はやっぱりいいなぁ、と思います。

全体的に、家族の問題が起こりつつも
家族で考えて解決していくのが良い。
そこにちゃんと思いやりがあるのがなお良い。
読んだ後にとても心が温かくなる。読後感サイコー!
星は4つです。
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