カタスミ

『99%の誘拐』岡嶋二人著

第一章『誘拐する側』第二章『誘拐される側』目線で描かれたお話。
結構読み応えあり。以下ネタバレあり。




















なんかどっちかっていうと
第一章が『誘拐される側』で
第二章が『誘拐する側』な気がするけど
まぁ、どっちの立場に立つかで見方は変わりますよね。

第一章では子供を誘拐され身代金5千万を要求された
生駒洋一郎が病死する前に書いた手記がメインに話が進みます。
5千万円は会社を運営する為の大切な資金だったが
身代金で全て失う事になり、生駒の会社は
大手リカードに合併吸収される事になる。

しかしその誘拐はリカードが生駒の会社を吸収する為に
5千万円を捨てさせるよう仕組まれたものであった。
当時生駒の会社にいた間宮も実はグルであった。

誘拐時5歳だった生駒の息子慎吾が大人になり
その事に気づいた結果
第二章でリカードの社長の孫を誘拐して
身代金を要求する事に。
慎吾は一人でコンピューターを駆使し
痕跡を残さずに10億円手に入れる事となる。

私はどっちかっていうと慎吾ちゃん応援してたので
完全犯罪っぽくて良かったです。
展開としては間宮にだけはばれるけど警察にはばれないってのが
理想かなぁ…と思っていたので
まぁ、理想通りの展開で良い感じでした。
贅沢を言うと、昔の誘拐の時に関わった
もう一人の生駒の部下鷲尾が現在の誘拐に一切出てこなかったので
この人ももうちょい関わっても良かったのかなぁ?と思ったり。

犯罪を犯す事は良くない事ですが
元々はリカード側が行った犯罪なので
自業自得感もあるよなぁ。
なので個人的には慎吾ちゃんやっちゃって下さい、って感じだった。
まぁ、誘拐された兼介は怖い思いして可哀想だったけど
中学生にもなって知らない人にほいほい付いていくのとか
ちょっと今後危うい所もあるので
ものすごいスパルタ教育と思えば得るところもあるのか…?
慎吾ちゃんが誘拐されたのとはまた状況が違うよなぁって思うわ。
どっちにしろ全然関係ない子供を巻き込むのは良くないけどね。
戦犯はやっぱり間宮だよなぁ。

最初から慎吾ちゃんが犯人って分かるように書かれていたので
絶対人質殺されない安心感がありましたが
分からないように書いて最後に真相を明かすって感じでも
ハラハラ出来て面白かったかなぁと思います。
結構なページ数なので読み応えはばっちりでしたが
そこまでのめり込んで読む…という事はなく。
誘拐犯と慎吾ちゃんを別人のように見せる茶番に
長い間付き合わされる感もあるのでちょっと冗長かなぁとも思う。

星は3つです。
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