カタスミ

『捕囚の犬』櫛木理宇著

ある日、ビジネスホテルで男が殺された。
その男の家を家宅捜査すると
離れに鎖に繋がれた女性を発見。
以下ネタバレあり。



















主人公は元家裁調査員の白石。
白石は過去、事件を起こした少年達の担当をしていたが
ある少年の行動により、精神的不安定に陥り
調査員を辞めて今は妹の元で専業主夫のような事をしていた。
そこへ友人である刑事の和井田から
ビジネスホテルで男が殺害された事件の話を聞かされる。
殺された男は薩摩治郎、白石が昔担当した少年の1人であった。
更にはその治郎が自分の家で女を監禁し、
1人を殺して挽肉にし、もう1人に食べさせていたという…
白石は以前会った治郎の印象とその事件があまりにも
かけ離れている為、1人調査に乗り出すのであった…

いやぁ…あかんやろ…この人元家裁調査員であって
今はただの専業主夫の一般人でっせ…
多分家裁調査員でもあかんと思うのだけど
一般人なんてもっとダメだと思うのだが、
刑事の和井田は事件の詳細漏らす漏らす…
そして白石は勝手に調査するする…
その調査結果を意気揚々と聞きに来る和井田…
まだ白石が自らクビ突っ込んでいくなら分かるのだが、
無理矢理巻き込んでいく和井田にすごい違和感が…
読むたびに、いや、あかんやろこいつ…と思ってしまった…

そして、途中から登場する中学生の海斗と未尋。
逆ナンしてきた女性二人をけんかさせたり、
ネグレクトされた幼女にドッグフード食べさせたり、
海斗をいじめていた両親をこてんぱにしたり、
だんだん狂気じみていく海斗と未尋にどうなるのかなぁ…?
ビジネスホテル殺人事件にやたらと反応する未尋に
どういう関係があるのか…?
と思いながら読み進めました。

が、最後で全く訳が分からなくなりました。
海斗と接触した白石、暴力を振るう未尋宅に乗り込む
白石と和井田、白石は警察と協力体制を持つ
カウンセラーになっていて…どういうこと??

え…?治郎殺人事件より8年経ってるの…?
えっと、じゃあ未尋がすごい反応していたビジネスホテル殺人は…
え?治郎殺人事件とは全然関係無いと…?
じゃあ、未尋があんなにその事件に反応してたのは何なの…?
犯人は治郎の母ちゃんで、人の心を操るのが上手くて、
治郎の父親も治郎も治郎の友達も全部操って、
昔好きだった女の子に似てる人達を片っ端から殺してたって事…?
で、治郎が暴走し始めたから、治郎の友達に治郎を殺させた…?
うん…?ちょっとよく分からねぇな…

最近ひしひしと感じるのは
叙述トリックってほんと、上手くやらないと
物語の面白さを根こそぎ削ってしまうなぁ…と言う事。
大どんでん返し狙う為に仕込んだ結果、仕込みが無理矢理過ぎて
納得できないんだよなぁ…
そして話の流れもぶった切られるから意味が分からなくなってしまう。
今回も『そうだったのか!』よりも、『意味分からんわ』の方が勝ってしまった…
物語として普通に犯人に辿り着いていたら星3つくらいだったのですが
最後の最後で頭がごちゃごちゃになってしまったので
その後でいくら良い話聞かされても全然付いていけず
星は2つとなりました…残念!
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