『Yの悲劇』エラリー・クイーン著

Xの悲劇の続編。
以下ネタバレあり。






















シリーズ物はつい順番にこだわってしまうので
Xの悲劇を読んで、もういっか…と思っていたが
そもそもYの悲劇が読みたかったので
とりあえずここまでは読もうと決意。
引退したシェークスピア劇役者のレーンを探偵役に
ハッター家に起こった不可解な殺人の解明に挑む。

Yの悲劇で打ち止めでいいかなぁ…と思っていたのですが
最後まで読んで、これシリーズ全部読まないとダメかもしんない…
と思うようになりました。

ハッター家では最初に主人のヨークが自殺体で見つかり、
その後エミリーの連れ子で障害者のルイザが毒殺されかける。
その後再びルイザの毒殺未遂が起こり、
ヨークの妻でルイザの母であるエミリーが他殺体で見つかる。
ハッター家は問題のある人物ばかりで
犯人捜しに四苦八苦していた警視のサムは
前回事件解決に貢献したレーンに助けを求めるのであった…

いろいろな謎を解決していくのは王道の探偵物なのですが、
最後がかなり引っかかってしまって…
というのも、この犯行のからくりは
死んだヨークが妻への恨みを昇華する為書き残した推理小説を元に
エミリーの孫である13歳のジャッキーが
小説の通りに実行していた、という事なのですが、
だんだんとエスカレートしていき、小説では殺さないはずのルイザを
殺そうとしはじめるんですよね。
それを食い止めたレーンが、どうも最後にジャッキーを
殺してしまう感じなんですが…
それはあかんやろ！！…と。
確かにジャッキーは相当むかつくクソガキなんですけどね。
遺伝的な病気があるみたいで、13歳の割に幼いし
暴力的だしわがままだし。
確かに今後何しでかすかは分からんけれども。
犯罪を暴いて残りの人生精神病院に閉じ込められて
世間から攻撃されるのは防ぎたい、とかなんとか
それっぽい事言ってるのですが、
あんたがそれやっちゃいけないでしょうよ…

ジャッキーはみんなで囲む食卓で自分の牛乳を飲み
突如倒れて亡くなるのですが
恐らくはルイザに毒を盛ったのだと思われますが
それをどうやらレーンが入れ替えたのではないか…？
という描写で終わってます。
これ殺人罪ですよね…？
サム警視は気付いてなかったけど
ブルーノ検事は気付いちゃったっぽし。
捕まえなくて良いのか…？
モヤモヤしたのでちょっと調べてたら
なぜレーンがこんな事したのかは続編を読もうと言う事で
あ～、これ最後までシリーズ読まんといけない感じだわ…
となりました＾＾；

Xの悲劇でも、罪ある人間が殺される所を防ぐ事が出来なかったレーンですが
こうなるともしかしてあれもわざとなのかしら…？なんて思ったり。
どうにもこの探偵闇を抱えてそうですわ…

ところで、ジャッキーが隠していた毒を牛乳にすり替えるレーンですが、
6月の話ですし、多分1週間くらい常温放置してるっぽいんで
牛乳も腐ってるんじゃないですかねぇ…？
死にはしないと思うけど、あれ飲んだらお腹壊しそう…

前回よりは面白かったですが
なんともモヤッと感が残ったお話でした。
シリーズ最後まで読んで納得できるんだろうか…
星は3つ。