カタスミ

『人質カノン』宮部みゆき著

三島由紀夫の金閣寺に手こずって
1月は1冊しか読めなかったので
今月挽回すべく軽く読めそうな短編集をチョイスしました。
以下ネタバレあり。



















まあまあかなぁ…
短編集って事もあるせいか、盛り上がる前に突如失速する…
というパターンが多かったかな…?

『人質カノン』
深夜のコンビニで強盗の人質になった逸子達。
犯人は近くで働く男だと思われいたが
実はコンビニの元店員がその男を犯人に仕立て上げ
犯行に及んだという事でした。
男が持っていた赤ちゃんのガラガラが仇になった
というオチでしたが、そもそもフルフェイスで店に入らなければ
犯罪に巻き込まれなかったかもしれない。

『十年計画』
タクシーの運転手のおばちゃんが
昔ふられた男に復讐する為に
十年かけて殺人計画を練っていたが
いつの間にやら別の人と結婚し、子供が出来
そんな事はどうでも良くなっていた…と言う話。
宮部みゆきが本当にタクシーに乗って聞いたみたいな話だった。

『過去のない手帳』
五月病で大学に通えなくなった和也が
たまたま拾った手帳に書いてあった女性の住所で放火が起こり、
その女性が行方不明だと言う事を知る。
興味本位でその彼女の行方を追うが…と言う話。
結局事件性はなく、ある日ふらっと帰ってくる彼女に
少し肩透かしを食らった。
人生いろいろだよねって話かな?

『八月の雪』
いじめでクラスメイトが自殺し、その事に憤った充が
いじめグループにちくりと嫌味を言ったせいで
自分がいじめグループの連中に襲われ、結果右足を失う事に。
なぜかいじめっ子達は毎回お咎めがなく、
世の理不尽に心を閉ざしていた主人公だが、
ある日祖父が亡くなり、祖父が若い頃に書いたと思われる
遺書のような手紙を見つける。
祖父の事を知りたいと思い、少しずつ外界と接触を持つように。
主人公が前を向き始めたのは良いのだけど、結局
いじめっ子達は勝ち逃げみたいになってしまって胸くそだった。
あの後いじめられっ子の両親と協力して追い込めたのならいいけど。

『過ぎたこと』
探偵事務所のような所で働いている瀬田。
ある時ボディーガードサービスを始めるが、
そこの依頼をしてきたのはいじめられている中学生だった。
体のアザを見せられ、彼を救おうとするが
結局連絡先などが全て嘘の物で、その後どうなったか
さっぱり分からなくなってしまう。
それから数年後、成長した彼とばったりと会うことになる。

いじめられていた彼が今は彼女が出来て
幸せそうになっていて良かった。
最初八月の雪のいじめられっ子なのかと思ったけど
吃音がないから違ったね。
彼も乗り越えられたら良かったのになぁ…

『聖者の特権』
付き合っていた彼に振られて、生きる気力を無くした明子。
死に場所を求めて深夜の街をふらふらしていたら
小学校の前で子供と出会う。
いじめられっ子の彼は、宿題を隠され
深夜に学校に取りに来たという。
見過ごせない明子は一緒に学校に乗り込み
深夜の学校を探検する。

正直な所、しょーもない事で死のうとすんな!!
と思いました。
結局この冒険のおかげで生きる事にするのですが。
にしてもいじめの話多いよね。

『漏れる心』
旦那の転勤の為、マンションを売ろうとしている家族。
朝目が覚めると上の階からひどい水漏れが。
オープンルームを急遽中止し、部屋の掃除に明け暮れる和子。
上の階の大学生の母親が詫びに来るものの、
その洒落た身なりに嫉妬心でイライラしてしまう。
結局自分の家はその大学生の両親が住む為に
買い取る事になったのだが、実はその大学生の息子は
存在していなかった事を知り、複雑な胸中になる。

いくらお金があっても、手に入らない物は山ほどあるって事ですかね。
なんでそのお母さんは妄想を抱くようになっちゃったのかね…


全体的に物語として楽しむって言うよりは
考えさせる、って方向性が多かったかな?
まぁ、可も無く不可も無くでした。
星は3つ。
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