次の日学校に行くと優美はすでに座っていた。授業が始まった。もちろん最初はどれもオリエンテーションだけで特に学ぶことはないけど、配られるものには必要なものが書かれていた。
二人にとっては苦しかった。また母に迷惑をかけてしまうと。だから親には言わなかった。自分でなんとかしようと。光輝は学校が終わると落し物を見にいった。もちろん授業に必要なものがあるかを見に行くためだ。家に帰るといつものように母がいた。それが当たり前だった。
そして学校が始まって一週間がたった。光輝にも優美にも友達はいなかった。そんなある日英語の授業でペア読みをする機会があった。光輝と優美は頭が良かったのですぐに終わった。二人は終わった後に何気なく話していた。話していると光輝は自分には父がいないことを打ち明けた。そのことは二人の心を開く鍵のようだった。続いて優美も自分には父がいないと言った。だが光輝は事故で父が亡くなったと嘘をついた。二人は自然と友達になっていた。
光輝は家に帰って母に今日のことを話した。母は嬉しそうに話を聞いた。光輝は少しでも母が元気でいられるようにと笑顔で話した。優美もまた母が帰るや否や話し始めた。
次の日から二人はおはようと挨拶を交わすようになっていた。そんな当たり前が二人にとっては学校に行く唯一の楽しみであって喜びであった。でも二人にはまだ友達はいなかった。ある日、二人は途中の道まで一緒に帰った。帰り道にある建物はオレンジ色に輝いていて、優美はそんな景色を見ながら光輝に聞いてみた。なんで光輝はいつも笑わないの。
もちろんそれは父が人を殺してしまったからだったが、父がいないからと嘘をついた。光輝が逆になんで優美は俺の前では笑顔なのと聞いた。優美は笑顔じゃないと近くにいる誰かが急にいなくなる気がするからと言った。そこで初めて優美は自分の父はある日誰かに殺されたことを告げた。光輝には衝撃が走ったが、そーなんだと素っ気なく言った。そして二人はまた明日と言って家に帰った。光輝はいつものように夜ご飯を食べ部屋に入ると涙が溢れた。自分の父を恨んだ。でも何よりも優美に嘘をついていることが辛かった。
次の日おはようと声がした。優美だった。光輝はおはようと言うと外を見た、雨が降っていた。優美が昨日のテレビ見たと言ってきたが光輝は部屋で泣いていたため何も見ていなかった、だがあれ面白かったよなとまた嘘をついた。すると優美は楽しそうに話し始めた。光輝は作り笑顔で聞いた。優美は光輝の笑顔を見るとあっ笑ったと言った。光輝は昨日優美が言ってたからと言ったら、優美は作り笑顔でもそっちの方がいいよと笑った。もうあたりには緑の葉っぱが生え始めていた。
以前の話は僕の記事一覧にあるのでよかったら読んでみてください。