手づくりオーディオで聴く JAZZ

1960年代の後半、BEATLESがまだ現役だった頃に、初めてアンプを作った。ときどき火がつく。

アンプの比較 K式 対 S式 一応の結論

2010年03月10日 15時33分48秒 | PC_Audio
この2週間ほど、毎日のように手持ちのアンプを聴き比べていた。

 スピーカーを LCネットワークでも鳴るように、少しばかり
手を加えた。いづれは、このLC NWもきちんとした姿にしたいとは
思うのだけど、ついつい仕上げることなく20年近くもバラック状態だ。
 そもそも、アンプ自体が、まともなケースに収まっているのは
金田式の初期のA級50Wを流用したものと、もらい物のクリスキット
くらいなものだ。
で、そのラインアップはというと

パワーアンプとして

① 金田式 2SK2554 対称型 VCC 36V
   オリジナルとの相違-- 手抜きと言った方が正しい---  は、保護回路なし
   電源トランスはRコア360VA、ケミコンは、殆どジャンクと呼べるものの
   組み合わせで5万μFくらいはある。位相補正のSEコンの代わりにディプマイカ、


SATRI-IC使用のパワーアンプ

  一応、モノラル構成。適当なアルミシャーシに組んだまま。
  回路はMJ誌 '99年10月号に紹介された
  ものが一番近い。Vccは50Vほど。先日、終段がダーリントン
  接続だったものから前段のドライブの石を廃止した。
  そのせいか、電源投入時にSP端子に1Vを超える電圧が瞬間的に
  出るようになってしまった。片chは、まあ許容値に収まっているので
  ちゃんと調整すれば、0.5V以下にできるはずだ。調整が面倒なので、
  そのままにしている。
  DCサーボを組み込んでいるので、瞬時に0Vには戻るが、
  精神衛生上、とても気になっている。

③ クリスキット(改)
  改造といっても、オリジナルの電源のケミコンがあまりに貧弱だったので
  エルナの音響用に変えたくらい。

④ 対称回路を使ったアンプ (いただきもの)  
 いわゆる安井氏の回路に似ている。オーバーオールのNFBを廃したもの。
  電源電圧は22Vくらいで、終段のアイドリングもかなり絞り込んで
  ある。電源投入時は30mAくらいだったはず。

⑤ 金田式 2SK2554 対称型 (いわゆる No.192を模したもの)
  保護回路なし、

⑥ 真空管アンプ EL12pp 
  6EJ7(五結)-- 6N1P(パラ)PK型位相反転 -- EL12 という構成。
  ちょっと珍しいのは、出力トランスに「マグネクエスト」の407だったか、
  を使っていること。

⑦ 真空管 WE429AのPP
  初段に WE407A(1/2) -- 407A(1/2)位相反転 -- 429A
 という構成。珍しいのは、出力トランスに 
  ギターアンプで有名な Fender向けの保守用-- 大きさからして
  10-15Wくらいの規格と思われる。となると6BQ5、6V6のPPアンプ用か。


ラインアンプとしては、

① 金田式で 反転式 2SK246 - 2SJ103 - 2SC960

② SATRI-ICを使ったもの 
  VRには、Alps製のかなり高級らしいものを使用。

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 まず、ラインアンプの品定めから。

 2台の傾向は、大体わかっているので、パワーアンプをつなぎ換えて
聴く。金田式は、どうも大人しいというか、元気がない。細身の音。
オリジナルよりも電源電圧が低く23Vしかないので、少し上げることに
した。ケミコンがニチコンのMUSE(25V 3300μF)から ELNAの
Goldのものに替える。位相補正のコンデンサが、適当なものだったので、
これもまづいかなと思い、手持ちの中で一番まともそうな
銅箔スチコンに取り替える。
 これで、ほんの少し音に力が出てきて、音も前に出るようになった気がした。

が、結論としては、やはりSATRI-ICに軍配を上げざるを得ない。
SATRI-ICに対抗できるのは、金田式真空管ラインアンプだけかも。

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パワーアンプの聴き比べ

⑥ のEL12pp
 球のアンプらしい音。
 スメタナ四重奏団による ベートーベンの16番とか聴くと
 音がふわーーッ部屋に広がる。独特の音場感だ。
 石のアンプと比べると高域が伸びていない感じだ。
 トランスのせいだろうか。
  ただしFusion系のJAZZを聴くとBassがふくらむ。
 NFBの量を増やすと変わるのかも知れない。
 また、ペルケ氏の全段差動回路とかも、おもしろいかも。
 TANGOのFX-40が遊んでいるので、それと換えるのも一つの手かも
 知れない。
  それはまたいづれということで、

⑦ 真空管 WE429AのPP

  これは、なかなか味のある音がする。ビックリさせられる。
 なんというか、堂々たる低域の存在感だ。オールWE球の威力だろうか、
 Fenderのトランスのせいか。相乗作用なのか、わからないが
 たかだか4Wくらいの出力なので、Fusion系のJAZZを聴くには苦しい。

 ただ、残念なことは、WE429Aから 電源投入後、数分くらい雑音が
 出ることだ。プレート電流が安定するまで、ガサゴソと騒がしい。
 これがなければ、たまに聴くには良いアンプだ。マルチの中音用にも
 いい感じで使える。

③ クリスキット(改)

 これは、思っていたよりも健闘という感じで、弦楽四重奏など
 定位もよく、音も元気(ハリ)がある。fffくらいになると
 ちょっとうるさい感じもあるが、FETより緻密な音に聴こえる。
 なにしろ石は全て、初期の金田式に使われていたものばかりだから。
 低音は、押し出しのある音とは言えないが、スッキリしているかな。
 パーツを取替えたらマルチの中高域用には使えるのかも。
 貴重なC960 と A606 が使われているので、バラしてしまおうかと
 思っていたが、とりあえずそのままにしておこう。

④ 対称回路を使ったアンプ 

  関東に住んでおられるYさんから、試作品ということなのか、
  無償でいただいたアンプだ。初段のみFETの構成だと思われる。
  回路図がないので、なんとも言えないが、部品の配置などから
  安井式に近いのではないかと推測している。
  このアンプは、電源電圧が低いため、出力は望めないが、
  他のアンプとは、少々異なる音がする。
  何というか、スピード感のある音と言えばいいのだろうか。
  バイポーラのアンプなので、クリスキットの音色にも近いが
  こちらの方が、やかましくない。
  低域は伸びているのだろうが、体感的には、迫力はあまり感じ
  られない。製作者のYさんへも、そのことは伝えた。
  「電源電圧を高くし、アイドル電流を増やすといいと思う」
  とのことだった。私も、きっとそうだろうと思う。
  できれば、回路を起こして 電源を強化すれば、私が作って
 きたアンプとは、違うものができるかも知れない。
 このアンプの低音に力強さと量感が加われば、いいアンプに
 なるのだけど、、、、。

⑤ 金田式(いわゆる No.192)

 どうにも、メインのアンプには成り得ない。低音がふくらみ
 力がない。やっぱり電源電圧が低いからか。素直な中高域も
 特筆するほどのことはない。このままの回路構成では電圧は
 上げられないので、我が家のシステムでは存在価値がないなあ。

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 3
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 さて、メイン・イベントともいうべき 金田式とSatri式
 何度も繰り返し書いているが、
 最大の違いは 音場感だろうか。
 金田式は、奥行感は一番表現される。LCネットワークだとマルチの
 低域で使ったときよりも 音は前に出てくるが、それでも手持ちの
 アンプの中では、一番、ひっこんだ音だ。SP Boxの前面から後方へと
 音が展開する感じ(極端に言うと)。
 作者の金田氏は、ご本人が録音した音源を大型のホーンシステムで
 音を確認されているとのことであり、また、ソースもオーケストラが
 多いように推察されるので、私とは、システムもソースも異なっている。
 ということは、今、私の部屋で再生されている音は、作者の意図に
 沿ったものなのかも知れない。
 少し、高域がくすんだ感じなのは、きっと初段の位相補正のコンデンサの
 せいかも知れない。No.192を作ったときに実感している。

 片や、SATRI-ICを使った方はというと、温度補償がないので、室温が
 低いときの突入電流が大きいのが困る。
 以前は、終段の前に、バイポーラTRを置いて、ダーリントン接続に
 していたのだけど、ちょうどうまい具合に温度補償の役割を果たして
 いたのか、突入電流の心配はあまりなかった。
 製作者の永井氏に尋ねたら、「ダーリントンにする必要はない」と
 言われたので、外したのだが、、、、。
 いづれにしても、このSATRI-ICは、初期のバージョンは一個5,000円だったが、
 いまや、数万円もするという代物だ。自作派としては、IC一個に2万円を
 越す金額は投入できない。それに、最近の回路は、かなり複雑化していて
 何のためにICを使うのかという気もする。
 とりあえずあと2個手持ちがあるので、

 ・30Wくらいの中高音用のアンプを作るか。
 ・MC専用のEQアンプを作るか
 検討課題だ。

 ということで、何回も聴き比べたが、私的には、現在のところ
 SATRI式が合っているという結論になっている。


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