この2週間ほど、毎日のように手持ちのアンプを聴き比べていた。
スピーカーを LCネットワークでも鳴るように、少しばかり
手を加えた。いづれは、このLC NWもきちんとした姿にしたいとは
思うのだけど、ついつい仕上げることなく20年近くもバラック状態だ。
そもそも、アンプ自体が、まともなケースに収まっているのは
金田式の初期のA級50Wを流用したものと、もらい物のクリスキット
くらいなものだ。
で、そのラインアップはというと
パワーアンプとして
① 金田式 2SK2554 対称型 VCC 36V
オリジナルとの相違-- 手抜きと言った方が正しい--- は、保護回路なし
電源トランスはRコア360VA、ケミコンは、殆どジャンクと呼べるものの
組み合わせで5万μFくらいはある。位相補正のSEコンの代わりにディプマイカ、
②SATRI-IC使用のパワーアンプ
一応、モノラル構成。適当なアルミシャーシに組んだまま。
回路はMJ誌 '99年10月号に紹介された
ものが一番近い。Vccは50Vほど。先日、終段がダーリントン
接続だったものから前段のドライブの石を廃止した。
そのせいか、電源投入時にSP端子に1Vを超える電圧が瞬間的に
出るようになってしまった。片chは、まあ許容値に収まっているので
ちゃんと調整すれば、0.5V以下にできるはずだ。調整が面倒なので、
そのままにしている。
DCサーボを組み込んでいるので、瞬時に0Vには戻るが、
精神衛生上、とても気になっている。
③ クリスキット(改)
改造といっても、オリジナルの電源のケミコンがあまりに貧弱だったので
エルナの音響用に変えたくらい。
④ 対称回路を使ったアンプ (いただきもの)
いわゆる安井氏の回路に似ている。オーバーオールのNFBを廃したもの。
電源電圧は22Vくらいで、終段のアイドリングもかなり絞り込んで
ある。電源投入時は30mAくらいだったはず。
⑤ 金田式 2SK2554 対称型 (いわゆる No.192を模したもの)
保護回路なし、
⑥ 真空管アンプ EL12pp
6EJ7(五結)-- 6N1P(パラ)PK型位相反転 -- EL12 という構成。
ちょっと珍しいのは、出力トランスに「マグネクエスト」の407だったか、
を使っていること。
⑦ 真空管 WE429AのPP
初段に WE407A(1/2) -- 407A(1/2)位相反転 -- 429A
という構成。珍しいのは、出力トランスに
ギターアンプで有名な Fender向けの保守用-- 大きさからして
10-15Wくらいの規格と思われる。となると6BQ5、6V6のPPアンプ用か。
ラインアンプとしては、
① 金田式で 反転式 2SK246 - 2SJ103 - 2SC960
② SATRI-ICを使ったもの
VRには、Alps製のかなり高級らしいものを使用。
===
1
===
まず、ラインアンプの品定めから。
2台の傾向は、大体わかっているので、パワーアンプをつなぎ換えて
聴く。金田式は、どうも大人しいというか、元気がない。細身の音。
オリジナルよりも電源電圧が低く23Vしかないので、少し上げることに
した。ケミコンがニチコンのMUSE(25V 3300μF)から ELNAの
Goldのものに替える。位相補正のコンデンサが、適当なものだったので、
これもまづいかなと思い、手持ちの中で一番まともそうな
銅箔スチコンに取り替える。
これで、ほんの少し音に力が出てきて、音も前に出るようになった気がした。
が、結論としては、やはりSATRI-ICに軍配を上げざるを得ない。
SATRI-ICに対抗できるのは、金田式真空管ラインアンプだけかも。
===
2
===
パワーアンプの聴き比べ
⑥ のEL12pp
球のアンプらしい音。
スメタナ四重奏団による ベートーベンの16番とか聴くと
音がふわーーッ部屋に広がる。独特の音場感だ。
石のアンプと比べると高域が伸びていない感じだ。
トランスのせいだろうか。
ただしFusion系のJAZZを聴くとBassがふくらむ。
NFBの量を増やすと変わるのかも知れない。
また、ペルケ氏の全段差動回路とかも、おもしろいかも。
TANGOのFX-40が遊んでいるので、それと換えるのも一つの手かも
知れない。
それはまたいづれということで、
⑦ 真空管 WE429AのPP
これは、なかなか味のある音がする。ビックリさせられる。
なんというか、堂々たる低域の存在感だ。オールWE球の威力だろうか、
Fenderのトランスのせいか。相乗作用なのか、わからないが
たかだか4Wくらいの出力なので、Fusion系のJAZZを聴くには苦しい。
ただ、残念なことは、WE429Aから 電源投入後、数分くらい雑音が
出ることだ。プレート電流が安定するまで、ガサゴソと騒がしい。
これがなければ、たまに聴くには良いアンプだ。マルチの中音用にも
いい感じで使える。
③ クリスキット(改)
これは、思っていたよりも健闘という感じで、弦楽四重奏など
定位もよく、音も元気(ハリ)がある。fffくらいになると
ちょっとうるさい感じもあるが、FETより緻密な音に聴こえる。
なにしろ石は全て、初期の金田式に使われていたものばかりだから。
低音は、押し出しのある音とは言えないが、スッキリしているかな。
パーツを取替えたらマルチの中高域用には使えるのかも。
貴重なC960 と A606 が使われているので、バラしてしまおうかと
思っていたが、とりあえずそのままにしておこう。
④ 対称回路を使ったアンプ
関東に住んでおられるYさんから、試作品ということなのか、
無償でいただいたアンプだ。初段のみFETの構成だと思われる。
回路図がないので、なんとも言えないが、部品の配置などから
安井式に近いのではないかと推測している。
このアンプは、電源電圧が低いため、出力は望めないが、
他のアンプとは、少々異なる音がする。
何というか、スピード感のある音と言えばいいのだろうか。
バイポーラのアンプなので、クリスキットの音色にも近いが
こちらの方が、やかましくない。
低域は伸びているのだろうが、体感的には、迫力はあまり感じ
られない。製作者のYさんへも、そのことは伝えた。
「電源電圧を高くし、アイドル電流を増やすといいと思う」
とのことだった。私も、きっとそうだろうと思う。
できれば、回路を起こして 電源を強化すれば、私が作って
きたアンプとは、違うものができるかも知れない。
このアンプの低音に力強さと量感が加われば、いいアンプに
なるのだけど、、、、。
⑤ 金田式(いわゆる No.192)
どうにも、メインのアンプには成り得ない。低音がふくらみ
力がない。やっぱり電源電圧が低いからか。素直な中高域も
特筆するほどのことはない。このままの回路構成では電圧は
上げられないので、我が家のシステムでは存在価値がないなあ。
===
3
===
さて、メイン・イベントともいうべき 金田式とSatri式
何度も繰り返し書いているが、
最大の違いは 音場感だろうか。
金田式は、奥行感は一番表現される。LCネットワークだとマルチの
低域で使ったときよりも 音は前に出てくるが、それでも手持ちの
アンプの中では、一番、ひっこんだ音だ。SP Boxの前面から後方へと
音が展開する感じ(極端に言うと)。
作者の金田氏は、ご本人が録音した音源を大型のホーンシステムで
音を確認されているとのことであり、また、ソースもオーケストラが
多いように推察されるので、私とは、システムもソースも異なっている。
ということは、今、私の部屋で再生されている音は、作者の意図に
沿ったものなのかも知れない。
少し、高域がくすんだ感じなのは、きっと初段の位相補正のコンデンサの
せいかも知れない。No.192を作ったときに実感している。
片や、SATRI-ICを使った方はというと、温度補償がないので、室温が
低いときの突入電流が大きいのが困る。
以前は、終段の前に、バイポーラTRを置いて、ダーリントン接続に
していたのだけど、ちょうどうまい具合に温度補償の役割を果たして
いたのか、突入電流の心配はあまりなかった。
製作者の永井氏に尋ねたら、「ダーリントンにする必要はない」と
言われたので、外したのだが、、、、。
いづれにしても、このSATRI-ICは、初期のバージョンは一個5,000円だったが、
いまや、数万円もするという代物だ。自作派としては、IC一個に2万円を
越す金額は投入できない。それに、最近の回路は、かなり複雑化していて
何のためにICを使うのかという気もする。
とりあえずあと2個手持ちがあるので、
・30Wくらいの中高音用のアンプを作るか。
・MC専用のEQアンプを作るか
検討課題だ。
ということで、何回も聴き比べたが、私的には、現在のところ
SATRI式が合っているという結論になっている。
スピーカーを LCネットワークでも鳴るように、少しばかり
手を加えた。いづれは、このLC NWもきちんとした姿にしたいとは
思うのだけど、ついつい仕上げることなく20年近くもバラック状態だ。
そもそも、アンプ自体が、まともなケースに収まっているのは
金田式の初期のA級50Wを流用したものと、もらい物のクリスキット
くらいなものだ。
で、そのラインアップはというと
パワーアンプとして
① 金田式 2SK2554 対称型 VCC 36V
オリジナルとの相違-- 手抜きと言った方が正しい--- は、保護回路なし
電源トランスはRコア360VA、ケミコンは、殆どジャンクと呼べるものの
組み合わせで5万μFくらいはある。位相補正のSEコンの代わりにディプマイカ、
②SATRI-IC使用のパワーアンプ
一応、モノラル構成。適当なアルミシャーシに組んだまま。
回路はMJ誌 '99年10月号に紹介された
ものが一番近い。Vccは50Vほど。先日、終段がダーリントン
接続だったものから前段のドライブの石を廃止した。
そのせいか、電源投入時にSP端子に1Vを超える電圧が瞬間的に
出るようになってしまった。片chは、まあ許容値に収まっているので
ちゃんと調整すれば、0.5V以下にできるはずだ。調整が面倒なので、
そのままにしている。
DCサーボを組み込んでいるので、瞬時に0Vには戻るが、
精神衛生上、とても気になっている。
③ クリスキット(改)
改造といっても、オリジナルの電源のケミコンがあまりに貧弱だったので
エルナの音響用に変えたくらい。
④ 対称回路を使ったアンプ (いただきもの)
いわゆる安井氏の回路に似ている。オーバーオールのNFBを廃したもの。
電源電圧は22Vくらいで、終段のアイドリングもかなり絞り込んで
ある。電源投入時は30mAくらいだったはず。
⑤ 金田式 2SK2554 対称型 (いわゆる No.192を模したもの)
保護回路なし、
⑥ 真空管アンプ EL12pp
6EJ7(五結)-- 6N1P(パラ)PK型位相反転 -- EL12 という構成。
ちょっと珍しいのは、出力トランスに「マグネクエスト」の407だったか、
を使っていること。
⑦ 真空管 WE429AのPP
初段に WE407A(1/2) -- 407A(1/2)位相反転 -- 429A
という構成。珍しいのは、出力トランスに
ギターアンプで有名な Fender向けの保守用-- 大きさからして
10-15Wくらいの規格と思われる。となると6BQ5、6V6のPPアンプ用か。
ラインアンプとしては、
① 金田式で 反転式 2SK246 - 2SJ103 - 2SC960
② SATRI-ICを使ったもの
VRには、Alps製のかなり高級らしいものを使用。
===
1
===
まず、ラインアンプの品定めから。
2台の傾向は、大体わかっているので、パワーアンプをつなぎ換えて
聴く。金田式は、どうも大人しいというか、元気がない。細身の音。
オリジナルよりも電源電圧が低く23Vしかないので、少し上げることに
した。ケミコンがニチコンのMUSE(25V 3300μF)から ELNAの
Goldのものに替える。位相補正のコンデンサが、適当なものだったので、
これもまづいかなと思い、手持ちの中で一番まともそうな
銅箔スチコンに取り替える。
これで、ほんの少し音に力が出てきて、音も前に出るようになった気がした。
が、結論としては、やはりSATRI-ICに軍配を上げざるを得ない。
SATRI-ICに対抗できるのは、金田式真空管ラインアンプだけかも。
===
2
===
パワーアンプの聴き比べ
⑥ のEL12pp
球のアンプらしい音。
スメタナ四重奏団による ベートーベンの16番とか聴くと
音がふわーーッ部屋に広がる。独特の音場感だ。
石のアンプと比べると高域が伸びていない感じだ。
トランスのせいだろうか。
ただしFusion系のJAZZを聴くとBassがふくらむ。
NFBの量を増やすと変わるのかも知れない。
また、ペルケ氏の全段差動回路とかも、おもしろいかも。
TANGOのFX-40が遊んでいるので、それと換えるのも一つの手かも
知れない。
それはまたいづれということで、
⑦ 真空管 WE429AのPP
これは、なかなか味のある音がする。ビックリさせられる。
なんというか、堂々たる低域の存在感だ。オールWE球の威力だろうか、
Fenderのトランスのせいか。相乗作用なのか、わからないが
たかだか4Wくらいの出力なので、Fusion系のJAZZを聴くには苦しい。
ただ、残念なことは、WE429Aから 電源投入後、数分くらい雑音が
出ることだ。プレート電流が安定するまで、ガサゴソと騒がしい。
これがなければ、たまに聴くには良いアンプだ。マルチの中音用にも
いい感じで使える。
③ クリスキット(改)
これは、思っていたよりも健闘という感じで、弦楽四重奏など
定位もよく、音も元気(ハリ)がある。fffくらいになると
ちょっとうるさい感じもあるが、FETより緻密な音に聴こえる。
なにしろ石は全て、初期の金田式に使われていたものばかりだから。
低音は、押し出しのある音とは言えないが、スッキリしているかな。
パーツを取替えたらマルチの中高域用には使えるのかも。
貴重なC960 と A606 が使われているので、バラしてしまおうかと
思っていたが、とりあえずそのままにしておこう。
④ 対称回路を使ったアンプ
関東に住んでおられるYさんから、試作品ということなのか、
無償でいただいたアンプだ。初段のみFETの構成だと思われる。
回路図がないので、なんとも言えないが、部品の配置などから
安井式に近いのではないかと推測している。
このアンプは、電源電圧が低いため、出力は望めないが、
他のアンプとは、少々異なる音がする。
何というか、スピード感のある音と言えばいいのだろうか。
バイポーラのアンプなので、クリスキットの音色にも近いが
こちらの方が、やかましくない。
低域は伸びているのだろうが、体感的には、迫力はあまり感じ
られない。製作者のYさんへも、そのことは伝えた。
「電源電圧を高くし、アイドル電流を増やすといいと思う」
とのことだった。私も、きっとそうだろうと思う。
できれば、回路を起こして 電源を強化すれば、私が作って
きたアンプとは、違うものができるかも知れない。
このアンプの低音に力強さと量感が加われば、いいアンプに
なるのだけど、、、、。
⑤ 金田式(いわゆる No.192)
どうにも、メインのアンプには成り得ない。低音がふくらみ
力がない。やっぱり電源電圧が低いからか。素直な中高域も
特筆するほどのことはない。このままの回路構成では電圧は
上げられないので、我が家のシステムでは存在価値がないなあ。
===
3
===
さて、メイン・イベントともいうべき 金田式とSatri式
何度も繰り返し書いているが、
最大の違いは 音場感だろうか。
金田式は、奥行感は一番表現される。LCネットワークだとマルチの
低域で使ったときよりも 音は前に出てくるが、それでも手持ちの
アンプの中では、一番、ひっこんだ音だ。SP Boxの前面から後方へと
音が展開する感じ(極端に言うと)。
作者の金田氏は、ご本人が録音した音源を大型のホーンシステムで
音を確認されているとのことであり、また、ソースもオーケストラが
多いように推察されるので、私とは、システムもソースも異なっている。
ということは、今、私の部屋で再生されている音は、作者の意図に
沿ったものなのかも知れない。
少し、高域がくすんだ感じなのは、きっと初段の位相補正のコンデンサの
せいかも知れない。No.192を作ったときに実感している。
片や、SATRI-ICを使った方はというと、温度補償がないので、室温が
低いときの突入電流が大きいのが困る。
以前は、終段の前に、バイポーラTRを置いて、ダーリントン接続に
していたのだけど、ちょうどうまい具合に温度補償の役割を果たして
いたのか、突入電流の心配はあまりなかった。
製作者の永井氏に尋ねたら、「ダーリントンにする必要はない」と
言われたので、外したのだが、、、、。
いづれにしても、このSATRI-ICは、初期のバージョンは一個5,000円だったが、
いまや、数万円もするという代物だ。自作派としては、IC一個に2万円を
越す金額は投入できない。それに、最近の回路は、かなり複雑化していて
何のためにICを使うのかという気もする。
とりあえずあと2個手持ちがあるので、
・30Wくらいの中高音用のアンプを作るか。
・MC専用のEQアンプを作るか
検討課題だ。
ということで、何回も聴き比べたが、私的には、現在のところ
SATRI式が合っているという結論になっている。